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「泣くんじゃねえ!」落合博満が涙の新人投手を一喝「オレ、クビだよな…」中日・井上一樹監督が振り返る“練習生”から監督へ「紙一重」の大逆転人生
text by

佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHaruka Sato
posted2025/06/02 11:03
自らの人生を「紙一重」と自称する中日・井上監督
歯車は音を立てて回り出し、投手として行き詰まっていた若者は、打者としてチャンスを掴んでいく。野手転向を決めたその年の夏、井上は怪我をした近鉄(当時)の選手の代役としてジュニアオールスターに選ばれ、「3番・指名打者」で先発出場。第1打席でいきなりバックスクリーン直撃の2ランを放つと、8回にもダメ押しの一発を突き刺して、ウエスタン・リーグ選抜のMVPに選ばれたのだ。
野手として見つけた「生きる道」
「あの頃は本当に必死でしたね。バッティングも守備も走塁もゼロからのスタートでしたから、死ぬほど練習しました。しんどかったですけど、それまでくすぶっていた自分が、野球をやれているのが新鮮で嬉しかったです」
打者として生きる道を見つけたその先で、運命の出会いが待っていた。1996年に監督に復帰した「燃える男」星野仙一の存在だった。
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「僕は星野さんに拾われ、星野さんに育てられた男です。生涯、色々な監督に導いてもらいましたが、僕の中ではどこまで行っても一番の監督は星野さんなんです」
“闘将”との出会い、最も近くで見て学んだ「指揮官像」とは――。〈つづく〉

