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「今日は言い過ぎました」原辰徳から“謝罪メール”…試合後なにがあった? 元巨人ヘッドコーチ・岡崎郁が明かす「原監督は攻撃型、阿部監督は守備型」
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岡野誠Makoto Okano
photograph byNumberWeb
posted2025/06/01 11:02
2011年から2シーズン、巨人ヘッドコーチとして原辰徳を支えた岡崎郁
岡崎:監督、昨日こうしようって言いましたよ。変えるんですか?
原:おお。
岡崎:僕、コーチにも伝えましたよ。
原:郁。俺たちはな、『あの時こう言ったから』なんて拘っていたら、前に進めないんだよ。今、一番良いと思ってる作戦がベストなんだ。
「それまでは、一度決めたら貫き通すべきだと思っていた。でも、間違いと気づいたら、変えるべきだと。意地なんかいらないって。当たりも外れもあるけど、違和感を持った作戦で外れるのが許せないんでしょうね。ベストな選択での失敗なら、後悔しない」
10年から落合博満監督率いる中日に2連覇を許した原は12年、監督生命をかけてシーズンに臨み、3年ぶりの日本一に輝いた。時に「イエスマンヘッド」と陰口を叩かれた岡崎だが、実情は違った。現役時代からの昵懇の仲だからこそ、素直に直言できたのだ。
岡崎が見た“原と阿部の違い”
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原監督は通算17年間で優勝9回を果たし、24年から阿部慎之助監督にバトンタッチ。就任1年目、45歳の指揮官は巨人を4年ぶりの優勝に導いた。原野球と阿部野球は何が違うのか。
「端的に言えば、原監督は攻撃型で、阿部監督は守備型。野球でどっちが大事かと聞けば、10人中10人が守りって言うんですよ。一方で、攻撃のほうが派手だし、野球の華はホームラン。負けた日、お客さんが『戸郷が10三振取ったからいいや』と思うか、『岡本がホームラン打ったからいいや』と考えるか。やっぱり、後者でしょう」
巨人の指揮官は人気チームゆえの悩みを抱えてきたという。
「長嶋監督も原監督も『野球はピッチャー』とわかっているけど、打つほうでファンをワクワクさせたい。そういうジレンマは絶対あったと思います。人気を考えなくていいとなれば、ピッチャーばかり補強したはずです。阿部監督は捕手やコーチとして長嶋監督、原監督、堀内(恒夫)監督のもとで働いた。どの時代も大型打線が看板だったけど、自分が監督になったらピッチャーを整備して守りを固めようと考えていたのでしょうね。巨人の指揮官として、それを実行できたのが凄いですよね」
昨年、優勝したものの、クライマックスシリーズでDeNAに敗れ、日本シリーズに進出できなかった。思えば、巨人はもう12年間も日本一になっていない。この歴代最長ブランクは人気にも影響を及ぼしていた――。

