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原辰徳が不安を吐露「“財布に2万円”で外出…心細いんだよ」元巨人ヘッドコーチ・岡崎郁が語る“原辰徳の素顔”「僕の財布には1万2000円しか…」

posted2025/06/01 11:00

 
原辰徳が不安を吐露「“財布に2万円”で外出…心細いんだよ」元巨人ヘッドコーチ・岡崎郁が語る“原辰徳の素顔”「僕の財布には1万2000円しか…」<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

巨人監督通算17年でリーグ優勝9回、日本一3回。原辰徳の素顔とは

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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Hideki Sugiyama

2011年から2シーズン、岡崎郁は巨人ヘッドコーチとして原辰徳を支えた。巨人監督通算17年でリーグ優勝9回、日本一3回。参謀が明かす、原辰徳の意外な素顔。【全3回の1回目/2回目へ】

瞬間視聴率46.5%…原辰徳の伝説

 “伝説のバット投げ”は、岡崎郁の一言から始まった。1992年7月5日、首位・ヤクルトを1ゲーム差で追う巨人は2対4のまま、9回表を迎えていた。2番の川相昌弘が遊ゴロに倒れると、3番の岡崎はネクストバッターズサークルで4番の原辰徳にこう呟いた。

「絶対に出ます。原さん返してください」

 伊東昭光から粘った末、岡崎は四球を選ぶ。そして、4番に回る。原はカウント1ストライク3ボールからの5球目を強振。同点2ランを確信した男は、神宮の夜空にバットを放り投げた。この直後、テレビ中継の瞬間視聴率は46.5%を記録した。

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「原さんには選手の時からずっと可愛がってもらっていましたし、指導者としてもいろんなことを学ばせてもらいました」

 2006年、原が監督に復帰すると、岡崎は二軍打撃コーチとして入閣。その後、二軍監督などを経て、11年に一軍のヘッドコーチに抜擢された。

原に直訴「鈴木尚広を1番で」

「原さんには、『話す時は結論から言え』と教えられました。監督は即断即決しないといけない立場ですからね。いいなと思えば、理由は聞かれない。意に反していると、初めて『なんで?』と言われます」

 同年、飛ばない『統一球』が採用され、自慢の打線が機能しなくなる。小笠原道大は絶不調に陥り、新外国人のライアルも期待に応えられない。阿部慎之助は右ふくらはぎ肉離れで開幕に間に合わず、高橋由伸もケガで離脱。4月、巨人はチーム打率.242で5勝7敗1分と負け越す。

 岡崎ヘッドは起爆剤として、代走のスペシャリストの先発起用を進言していた。

岡崎:鈴木尚広を1番で使いましょう。
:……なんで?
岡崎:4打席のうち、2回ぐらいフォアボールやエラーで出てくれれば、盗塁、バント、犠牲フライで1点取れますよ。
:使えないなあ、俺は。

 原は尚広の打撃を信頼できなかった。それでも、岡崎はあきらめなかった。1カ月の間で、さらに3回「1番・鈴木尚広」を推した。

岡崎:監督お願いがあります。
:なんだ?
岡崎:尚広、1番で使いましょう。
:……わかったよ、しつこいな。

【次ページ】 「お前もたまには当たるな」

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