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「フェリちゃんは本当にありがたい」広島カープ・新井貴浩監督も絶賛するドミニカ人フェリシアーノの「通訳」を超えた仕事「選手の教育係も…」
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前原淳Jun Maehara
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/05/26 17:00
広島カープ・新井貴浩監督、来日初勝利のドミニカ人投手ドミンゲスと共にポーズをとるフェリシアーノ通訳(右)
「私は、通訳だけじゃないよ。日本語はちょっとできるだけで、ヘタクソでしょ。でも、カープアカデミーではコーチ。教える人。一番大事なことは彼らの精神面のサポートだと思っている。日本人のコーチが言っていることを分かりやすく伝えたい。毎試合、毎打席、毎プレーはすごく大変だけど、彼らがやりたいことを完璧にできるようにサポートしたい。新井監督ともいつも話をしている」
昨季は外国人野手の誤算が得点力不足の一因となったが、今季は両外国人が打線を引っ張っている。オープン戦打率1割台だったファビアンは、5月25日までリーグトップの打率.315をマーク。戦列に復帰したばかりのモンテロも、復帰後8試合中5試合で打点を挙げ、クラッチヒッターぶりを発揮している。
新井監督「フェリちゃんは本当にありがたい」
「フェリちゃんの存在は本当にありがたい。ベンチでも本当によく声を出してくれている。通訳だけでなく、選手の教育係もやってくれている」
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新井貴浩監督もその貢献に感謝する。球団も当初は6月末で帰国する予定だった日程をシーズン終了まで日本に残す方向で進めているという。
4月で45歳となり、白髪も、しわも増えた。表情が年々優しくなっているのは、年齢だけが理由ではないだろう。選手たちからときに「mi papi(私のパパ)」と呼ばれているのだと、ちょっと照れくさそうに教えてくれた。
例年以上に日本での滞在が増えそうな今、ひとつ気になることがあるという。
「ドミンゲスとあまり一緒にいられていない。それがちょっとかわいそう。まだいろいろやらないといけないことがあると思う」
10代のときにアカデミーに所属していた元教え子を気にかけている。その姿勢は常に、自分よりも選手。通訳という肩書を超え、新井監督が「家族」と表現するチームの支えであり続けている。

