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首位打者・小園海斗は「まだ言えません」巨人を3タテして首位に立ったカープに見える小さくとも着実な「変革」の成果
posted2025/04/14 11:02

巨人との3連戦で計8安打を放ち、打率.418と首位打者を走る小園
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前原淳Jun Maehara
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JIJI PRESS
「変革」を掲げて今季に臨んだ広島は、セ・リーグ5球団との対戦が一巡した14試合消化時点で8勝5敗1分け。まだゲーム数が少ないとはいえ首位で滑り出した。投手陣が踏ん張り、数少ない好機を得点につなげていくスタイルは、昨季までと大きくは変わらない。ただ、チームにはまだ小さくとも確かな「変化」が感じられる。
新井貴浩監督は開幕早々からスタメンの変更を余儀なくされた。開幕4番の新外国人エレフリス・モンテロ、開幕5番の秋山翔吾が、開幕3戦目に相次いで負傷し、2カード目を前に戦線を離脱。さらに春季キャンプ中に離脱した坂倉将吾は、いまだ実戦復帰していない。開幕早々から、"飛車角落ち"の戦いを強いられている状況だ。
首位打者・小園海斗の変化
結果として若い選手が並ぶ打線の中で、小園海斗からは打席内での変化が見える。ここまで打率.418、23安打、出塁率.492、11得点。すべてリーグトップの成績で牽引役を担っている。
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昨季、小園のP/PA(1打席あたりの球数)は3.21で、規定打席到達者の中では12球団で最少だった。積極的な打撃で打率.280を記録。今季もP/PAは3.83と積極打法は健在だが、一方でカウントを整える場面も増え、初球攻撃との使い分けに工夫が見られる。ファーストストライクを打って終えた打席は昨季の33.7%から25%に減少。昨季リーグ20位(30個)と少なかった四球数も、ここまでリーグ2位タイの8個を選んでいる。
本人に意図を聞くと「それはまだ、言えません」と言葉を飲み込んだ。「まだ」という表現からは、何か根拠があることがうかがえる。
昨季は小園の前後に野間峻祥や矢野雅哉など、相手投手から球数を引き出す打者がいたことで自由に打てた。今季は自身よりも若く、経験の浅い選手がスタメンに並ぶ試合が増えた。彼らとは立場が異なる小園からは、レギュラーから「主力」に変化を遂げようとする覚悟を感じる。