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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「20点差で負けていても楽しそう…」日本初のプロ野球チーム「佐賀アジアドリームズ」はナゼ注目を集めるのか?「NPB球団スカウトが密かに視察も」
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph byYasushi Washida
posted2025/05/25 17:40
日本初のプロ野球チーム「佐賀アジアドリームズ」を率いる香月良仁監督(左)
「選手たちは地域貢献もしていますが、全部、ボランティア活動でやっています。その分、地元を含めて様々な企業にチームを支援していただいているので、他の独立リーグのチームより、多少、給料は高いかと思います」
こう内情を語るのは山下翔一GMだった。
もちろん高いと言っても何十万円の高額ではない。せいぜい十数万円程度だ。しかし例えば所属する2人の選手の母国・カンボジアでは、月の平均サラリーが2万円前後だという。選手たちは日本では寮も完備し、食費も球団持ちで生活費はほとんどかからない。野球をやったお金で国の家族に仕送りもできているのである。
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「だから選手たちが国に帰ると驚いている訳ですよ。周りの人たちは野球をしてお金を稼げるなんて思っていなかった訳ですから。逆にいえばそれが分かったら、じゃあ野球に本気で取り組んでみようという子供達や、その親も出てくるんじゃないかと思います」(福原社長)
NPB球団のスカウトが視察する選手も
この九州の小さなチームが発信する夢が、アジアの野球の広がりを生み出す源になっているのだ。
「そういう意味ではやっぱり勝つことも大事だし、そこが欠けるとこのチームはサーカスになってしまう。サーカスにしないためにも、まずチームが勝って、選手たちがもっと上のレベル、NPBだったりMLBでプレーすることを目指せるようにしたい。そういう選手が出てきて、彼らがビッグマネーをつかむところまでレベルを上げていかないといけないと思うんですね」
香月監督のドリームだ。
そしてそのドリームをつかむ可能性のある選手も加入してきている。
実は身長2m超、パキスタン出身の所属右腕に、NPB球団のスカウトが密かに視察に動き出している。
<続く>

