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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「身長2m超、パキスタン出身」NPB球団スカウトも注目…佐賀アジアドリームズのエース候補とは何者か?「佐々木朗希のピッチングを研究しています」
posted2025/05/25 17:41

NPB球団も密かに視察しているという佐賀アジアドリームズのエース候補ムシャラフ・カーン投手(左)
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鷲田康Yasushi Washida
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Yasushi Washida
佐賀県の武雄市と嬉野市を拠点とするユニークなプロ野球チーム「佐賀アジアドリームズ」が注目を集めている。独立リーグ・九州アジアリーグに準加盟している同チームはインドネシア、フィリピン、カンボジア、パキスタン、スリランカ、タイのアジア6カ国にベネズエラとドイツを加えた8カ国の選手が参加。そこに日本人選手も加わった多国籍軍団だ。チーム結成2年目(昨年は佐賀インドネシアドリームズで活動)の今季は、念願だった公式戦初勝利もマーク。この異色のプロ野球チームにメディアの注目も集まる中、NPBのスカウトも視察に訪れる“金の卵”候補も出てきている。<全2回の後編/前編も公開中>
身長2m超、パキスタン出身のエース候補
ムシャラフ・カーンはパキスタン生まれ、フッと見せる表情にはまだ幼さが残る20歳になったばかりの若者だ。身長2m4cm。その長身から投げ下ろすストレートは球速140kmを超え、チーム期待のエース候補だ。
「野球を始めたのは13歳のときでした」
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ムシャラフは野球のボールを握ったきっかけをこう語った。
「自分の住んでいたアフリディーという村に野球のアカデミーができたことがきっかけでした。パキスタンではクリケットの人気が高く、自分も物心がついた時にはクリケットをしていました。でも、自分の村の長が野球に熱心で、アカデミーを開設して、そこで何度も野球をしているところを見て興味を抱きました。やってみると面白くて、クリケットをやめて野球にのめり込んでいきました」
最初からポジションは投手。順調に成長を遂げて17歳のときにはパキスタンの代表チーム入りを果たし、国際大会にも出場するようになっていった。
「初めて見たのは2023年のアジア野球選手権でした」
こう語るのはスリランカ代表監督などを歴任し、ムシャラフをスカウトしてきた野中寿人ヘッドコーチだった。
「そのときにいいピッチャーだなと思っていたんですね。それでその後のアラブクラシックという大会で、他国との試合で投げているムシャラフを観て、すぐにパキスタンアマチュア野球連盟のアリ・シャー会長に『このピッチャー、欲しいんだけど』と話をした。結果としてシャー会長がファイサル・ハヤット(投手)と2人で話をまとめてくれました」
150kmを超える能力を秘めた素材
今季からチームに加わったムシャラフは、長身から投げ下ろし、球速140kmを超えるストレートが最大の武器だ。