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「ホームランバッターに見られがちですけど…」“2mの長身”秋広優人が語った“意外な持ち味” 電撃トレード・巨人→ソフトバンクで追い求める“打率”
posted2025/05/18 17:00

巨人からソフトバンクにトレード移籍した秋広優人。新天地で初安打を放った
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SNAKEI SHIMUBUN
自分の理想に向かって、新天地で新たな歩みを踏み出して欲しい。
リチャード内野手との交換トレードで大江竜聖投手と共に巨人からソフトバンクに移籍した秋広優人内野手には、そんな思いが強い。
「ジャイアンツに損したと思わせるぐらいの活躍をしたい」
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5月14日にみずほPayPayドームで行われたソフトバンクの入団会見。冒頭にこう語った秋広が、続けてこんなコメントをしていた記事を読んで、ちょっと膝を打つ思いだった。
「身長がある分、ホームランバッターに見られがちですけど、自分は率の方が自信がある」
2mの大きな身体の割に腕使いが柔らかく、バットコントロールが上手い。長打力に目がいきがちだが、ミートの上手さにこそ自分のバッティングの持ち味があるというのが、秋広の自己分析なのである。
実はそれを裏付けるというか、本人の意識を感じた話を巨人時代に聞いたことがあったのだ。
秋広が話していた「自分の持ち味」
2023年オフ、そのシーズンまで巨人で打撃コーチをしていた大久保博元さんの取材で、秋広の話になったときだった。
秋広に必要なのは積極性で、どうしてもボールを見てしまう。ホームランを打つためにはもっと積極的にならなければダメだ、という話をしていた大久保さんがこんなことを言っていた。
「秋広は(仲のいい)中山(礼都内野手)に『自分は追い込まれてからが持ち味だ』って話していたんですよ」
大久保さんが漏らしたこの言葉が気になり、秋広本人にそのことを聞くと、こんな答えが返ってきた。
「いまはファーストストライクから甘い球を逃さず、しっかりバットを振っていくことを心がけて打席に入っています。でも、確かに追い込まれてもボールについていって何とかするのも大事だし、そこも自分の持ち味だと思います」
松井秀喜の「背番号55」を与えられて
打撃練習で芯で捉えた打球の飛距離はかなりのものだ。その長打力に目をつけた原辰徳前監督も、現在の阿部慎之助監督も、秋広にフルスイングを求めてホームランバッターとして育てるべく躍起になった。
ただそうした首脳陣の思惑と本人の間にはずっとズレがあったのかもしれない。