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「日本代表戦で解任された監督」がバルサ再建…才能覚醒ヤマル17歳に引退撤回ベテランGKの涙「失点が多くて危うい」のにマドリー撃破2冠のナゼ
posted2025/05/21 11:00

クラシコ勝利、そして2冠を達成したバルサ。ヤマル、ラフィーニャらチームは再生のサイクルにある
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中島大介Daisuke Nakashima
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Daisuke Nakashima
2024-25シーズン、FCバルセロナのラ・リーガ優勝が決定した。
5月15日のアウェイでの対エスパニョール戦、バルセロナダービーを0-2で制すると、2節を残して、2位レアル・マドリーの逆転の可能性は潰えた。
結果的に4日前に行われたクラシコでの勝敗が、優勝決定を大きく早めた。永遠のライバルとの対戦は、ホームでの戦いではあったが決して簡単のものではなかった。2点を先行されてからの劇的な逆転劇で、4-3の大熱戦だった。
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またクラシコの直近、同週に行われたインテルとのチャンピオンズリーグ(CL)準決勝2ndレグでの敗戦という結果は、精神的にも肉体的にも選手たちを疲弊させるもので、それを乗り越えての不屈の魂を示しての勝利だった。
バルサが見せた、バルサたる所以――近年稀に見るドラマチックな戦いを、現地で撮影取材した2試合の写真と共に振り返る。
22歳ペドリ、17歳ヤマルから風格が
CL準決勝インテル戦1stレグは、4月30日にバルサのホームであるオリンピック・スタジアムで行われた。モンジュイックの丘にあるそのスタジアムは、その名の通り1992年のバルセロナオリンピックのメイン会場。本来のホームスタジアムであるカンプ・ノウの改修工事のために代替で使用されているスタジアム越しには、遠くにバルセロナ市内北西部のティビダボまでが眺めることができる。
ただ会場は、サッカー専用競技場ではない。そのため、ピッチと観客席が大きく離れており、10万人近いキャパを持つカンプ・ノウとは比べるまでもないほど、スタジアムが放つパワーは乏しくなっている。
本来ならシーズン半ばの1月頃には新スタジアムでの開催が予定されていたが、大事なシーズン終盤にも間に合わせることができなかった。
とはいえ大事な初戦、モザイクでスタジアムは彩られ、CLのアンセムがボルテージを上げていく。宵闇の薄明かりの中、間近で撮影できた選手たちの表情からもイキイキとしたものを感じ取れていた。
好調のバルサ攻撃陣を司る22歳ペドリの精悍な顔、また17歳にして世界的な右ウインガーとして覚醒したラミン・ヤマルは堂々とした風格を漂わせていた。
日本代表戦後にドイツ監督を解任されたフリックが…
今季からバルサを指揮するハンジ・フリック――2023年9月、ドイツ代表監督としてカタールW杯の雪辱を期したはずの日本代表戦で大敗を喫し、解任の憂き目にあった――の元、一時調子を落としかけたが、ハイラインを維持しての攻撃的なサッカーでチームを再建し、快進撃を続けてきた。リーガでは首位に立ち、数日前に行われた国王杯決勝ではマドリーに勝利しており、バルセロナの街では多くのファンが今季3冠を現実的なものとしてなものとして語り合っていた。