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「日本代表戦で解任された監督」がバルサ再建…才能覚醒ヤマル17歳に引退撤回ベテランGKの涙「失点が多くて危うい」のにマドリー撃破2冠のナゼ 

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中島大介

中島大介Daisuke Nakashima

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posted2025/05/21 11:00

「日本代表戦で解任された監督」がバルサ再建…才能覚醒ヤマル17歳に引退撤回ベテランGKの涙「失点が多くて危うい」のにマドリー撃破2冠のナゼ<Number Web> photograph by Daisuke Nakashima

クラシコ勝利、そして2冠を達成したバルサ。ヤマル、ラフィーニャらチームは再生のサイクルにある

 ただ開始から1分も経たず、インテルのマルクス・テュラムが先制点を奪う展開に。さらに21分にはCKから2失点目を喫する。

 隣に座る長年バルサを撮影する現地カメラマンたちからも、ため息と共に諦めの言葉を口にするのがシャッター音に重なり聞こえてきていた。ピッチから離れた観客席からも落胆の様子が伝わってきた。

美しい以外の何物でもないヤマルの一撃

 そんな空気が一変したのが24分、ヤマルのゴールだった。

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 相対する守備者をワンステップで一気に置き去りにしてボックス内へ侵入すると、5人に囲まれながらもそのまま左足でシュート。弧を描いたボールを名手ヤン・ゾマーも見送ることしかできず、ゴールネットに吸い込まれる様は〈美しい〉以外の何物でもなかった。

 勢いを取り戻したバルサは38分にフェラン・トーレスがゴールを決め同点に追いつく。ヤマルが屈強な相手DFを弄ぶほどのキレを見せるが追加点を奪えずにいると、64分にデンゼル・ダンフリーズのこの日2点目のゴールでインテルが抜け出す。

 しかし直後65分のCK、ボックス外のラフィーニャのシュートがバーに弾かれたところゾマーに当たりゴールイン。3-3というスリリングな展開で1stレグを終えた。

 

 アウェイで迎えた2ndレグでもバルサは、前半のうちに2点を先行された。それでも54分にエリック・ガルシアが反撃の狼煙を上げると、60分、87分とゴールを決めて逆転。ラフィーニャの逆転弾に、勝利を確信したのはバルサファンだけでなく、選手たちにも安心感が強く出てしまっていただろうか。

 終了間際、36歳のアチェルビにまさかの同点弾を流し込まれると、決着は延長99分のフラッテージの一撃。2戦合計7-6というゴールに次ぐゴールによる狂宴の終結は、バルサにとってCL敗退であり、3冠の夢が途絶えた瞬間でもあった。

クラシコでも早々にエムバペの2発を浴びたが

 インテル戦の敗戦から中3日で迎えたのが、リーガ35節のクラシコだった。

 ホームのオリンピック・スタジアムでは、快晴の下たくさんのサポーターがチームフラッグを降り選手を鼓舞していた。また通常の試合とは比べるまでもないほど多くのTVカメラがピッチを囲むように設置され、ピッチサイドからは各国のメディアが現地リポートを繰り広げていた。

 マドリーにとって、今季の無冠がクラシコで事実上決まってしまうのは屈辱でしかなく、求めるのは勝利でしかなかった。対するバルサは引き分け以上の結果で問題ないとはいえ、CL直後の試合で精神的な難しさがあったことは想像に難くない。

【次ページ】 マドリーを前半だけで粉砕する4ゴール

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