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「日本代表戦で解任された監督」がバルサ再建…才能覚醒ヤマル17歳に引退撤回ベテランGKの涙「失点が多くて危うい」のにマドリー撃破2冠のナゼ
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中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2025/05/21 11:00
クラシコ勝利、そして2冠を達成したバルサ。ヤマル、ラフィーニャらチームは再生のサイクルにある
この試合でもバルサは、前半早々に2点を先行された。5分に若手CBクバルシのミスからPKを献上し、難なくエムバペに先制点を許してしまう。14分にはカウンターから、高く設定した守備ラインの裏を抜け出されて、再びエムバペの一撃を浴びた。
ただインテル戦で見せた得点力が、自信となってバルサの選手達、そしてファンの心を挫くことはなかった。
〈俺たちならやれる!〉
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とばかりに逆境によって、むしろ心に火が灯ったかのようだった。
マドリーを前半だけで粉砕する4ゴール
19分にCKからエリック・ガルシアが反撃の狼煙を上げると、32分のヤマルのゴールで、それは確信へと変わる。フェランのパスを受けたヤマルはダイレクトでコースを狙ってシュートを放つ。GKクルトワが目いっぱい伸ばした指先をかすめるように、ボールはサイドネットへと吸い込まれた。
それでもこれ以上の興奮を前半に求めた者はいたのだろうか――。
バルサは、ここから前半だけで2ゴールを奪った。34分にペドリからのパスを引き出し、ラフィーニャが左足を一閃。45分には再びラフィーニャが前線からのプレスでボールを掻っ攫って、フェランとのパス交換から4点目を奪った。
ペドリが中盤で蝶のように踊り、ヤマルとラフィーニャが蜂の一撃を打ち込む。この20分ほどの選手達の躍動、ファンの興奮は今季のバルサを象徴するものだった。
危ういが“伸びしろと才覚”を感じさせるバルサ
後半にはエムバペにハットトリックを許し、同点への恐怖を感じさせる展開に。ハイライン戦術のリスクは、一発を決め切る力を持つビッグクラブとの戦いにおいてより高くなってしまう。大一番の3戦全てで2点を先行されているのは、危うさが残るという意味で課題だろう。
ただバルサの陣容は、ペドリ、ヤマルを筆頭に10代や20代前半のメンバーが多く、下部組織出身者も多い。太々しい程の落ち着きとテクニック、才覚を見せるヤマルも、ゴール後の笑顔にはまだまだあどけなさを感じさせる。
またクラシコでの逆転ゴールを決めたラフィーニャは、先制点に直結するミスをしたクバルシを気遣うような仕草も見せていた。フリック体制初年度ということを考えれば、まだまだ伸びしろの大きさも感じさせる。
ベテランの存在も大きかった。







