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「シャイは必要ない!」なでしこジャパン監督就任2カ月で米国撃破→優勝「時間は限られたが…まず心構えを」ニルス・ニールセンとは何者か
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井川洋一Yoichi Igawa
photograph byYuki Suenaga
posted2025/05/03 11:02
NumberWebのインタビューに応じてくれたニールセン監督。就任早々なでしこジャパンをシービリーブスカップ優勝に導いた指揮官は何者か
日本人選手は誰もが積極的にボールを要求し、高いスキルを発揮できると知っていましたから。私はそんな彼女たちに、もっともっと巧みにボールをキープするよう求めた。それは子供たちをお気に入りのキャンディーストアに連れていき、好きなものを自由に選んでいいと言うようなものです(笑)。すると彼女たちは一番好きなキャンディー、つまりパス回しをさらに磨いていきました。
初戦のオーストラリア戦の3ゴール目は、まさにチームのそんな特長が十全に表れた形でした。おそらく18本くらいのパスを繋ぎ、最後は左からのグラウンダーのクロスをマイカ(浜野まいか)が押し込んだものです。多彩な動きとワンタッチパスを交えたあのような攻撃は、なかなか防げない」
シャイになる必要はないんだ!
そんな手ごたえがあったからこそ、オーストラリア戦後、選手たちにこう言ったという。
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「あんなプレーができるなら、もっともっと出そうじゃないか。シャイになる必要はないんだ。自分たちはすごいチームなんだと、大きな声で叫んでもいい!」
史上初の外国籍監督に、そんな風に刺激されたなでしこたちは、短期間でみるみる成長していったという。オーストラリアを4-0、コロンビアを4-1で下した後、アメリカと対戦する前に、「このチームならアメリカにも勝てるはずだ」と指揮官は感じていたという。そして実際に2-1と競り勝ったのだ。
「すべては選手のおかげだよ」とニールセン監督は振り返るが、中2日の日程を乗り切るには、指揮官の優れたマネジメントも不可欠だったに違いない。〈つづく〉

