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「センガがマウンドなら相手が誰でも…」監督も大絶賛のメッツ・千賀滉大の絶好調…“年俸270万円”からの下剋上は「三振を取らなくなった」から?
text by

一野洋Hiroshi Ichino
photograph byGetty Images
posted2025/04/25 06:03

メジャーの強打者を手玉に取ったメッツ・千賀滉大の“お化けフォーク”は今季も健在。一方で、投球スタイルには意外な変化も?
実際に千賀自身も「彼がいなければ、今の自分はない」と語っている。その引き出しの増え方こそが、今季の千賀の新たな強みなのかもしれない。
年俸270万円…育成出身選手の「下剋上」
千賀滉大の物語は、決して派手なスターの英雄譚ではない。
中学は軟式野球部所属で、進んだのは甲子園には縁のない愛知県の無名の公立高校。2010年ドラフト会議での指名は、97選手中91番目の育成契約だった。年俸は実に270万円からのスタート。
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ソフトバンクの三軍でプロのキャリアをスタートした男は、静かに、だが確実に、その実力で階段を上がってきた叩き上げだ。いまでは5年総額7500万ドル(当時のレートで約103億円)の大型契約まで上り詰めた。
メッツのカルロス・メンドーサ監督は言う。「相手にどんなエースがいても、センガがマウンドに立てば自信が持てる。それこそが本物のエース。そのレベルに匹敵する存在が彼だ」
まだシーズンは始まったばかり。だが千賀滉大は着実に「MLBトップクラスの投手」へと歩みを進めている。
かつて育成契約からキャリアを始めた男が、今やメッツの命運を握るエースに。華やかさでは大谷や山本に劣るかもしれない。それでも誰よりも泥臭く、ひたむきに積み上げてきた実力と信頼が、いまこの舞台で輝きを放っている。
これこそが、本物の“下剋上”だろう。

