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「夢のような新戦力が、まさか短期間で」45億円移籍→骨折から復帰→食事会で祝福のち再び…日本代表DF伊藤洋輝の不運をバイエルン番記者が嘆く 

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ゲオルク・ホルツァー

ゲオルク・ホルツァーGeorg Holzner / Kicker

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posted2025/04/22 06:05

「夢のような新戦力が、まさか短期間で」45億円移籍→骨折から復帰→食事会で祝福のち再び…日本代表DF伊藤洋輝の不運をバイエルン番記者が嘆く<Number Web> photograph by Craig Foy/Getty Images

バイエルン1年目は苦難のシーズンとなった伊藤洋輝。番記者のリアルな本音は?

「バイエルンとヒロキが契約を交わしたことを、この上なく喜んでいる。我々はチームに新たなエネルギーを生み出しうる、ハングリーな選手を求めていた。彼は私たちが求めるすべての資質を兼ね備えている。チャレンジを厭わず、それらを乗り越え、成長し続ける選手だ。すぐにチームを活気づけてくれるに違いない」

負傷離脱期間にも監督との信頼関係を構築した

 そのようにしてドイツの盟主に引き抜かれた伊藤は、近年、パフォーマンスが安定しない左SBアルフォンソ・デイビスに刺激を与える存在として、またCBダヨト・ウパメカノとCBキム・ミンジェのポジションを脅かす新戦力としても期待されていた。

 チームへの合流もスムーズに進み、プレシーズンの練習も順調に消化していたが、ブンデスリーガ開幕までひと月を切った7月28日、伊藤はアクシデントに見舞われた。1FCドゥレンとのテストマッチで、右足の中足骨を骨折してしまったのだ。

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 当初は復帰まで3、4カ月ほどと見られていたが、思うように回復せず、手術をいま一度受けたため、伊藤が新天地で公式戦のピッチに初めて立ったのは、負傷から半年以上が経った2月12日のセルティックとのチャンピオンズリーグの一戦だった。クラブ関係者によるとその間、あまり表情には出さないが、繊細な一面を持つこの守備者は、心身の痛みと格闘しながら、懸命にリハビリをこなしていったという。期待の新戦力の状態を気に掛けるメディアは、ことあるごとにヴァンサン・コンパニ監督に質問した。指揮官はできるかぎり誠実に応じ、伊藤本人の背中を叩いて勇気づけ、医療部門とも密に連絡を取っていた。

ヒロキ、復帰したことを心から嬉しく思う!

 2月11日、チャンピオンズリーグの決勝トーナメント進出を懸けたプレーオフ第1戦の前日会見で、現在39歳のベルギー人監督は次のように話した。

「ヒロキは準備ができているよ。彼の長期離脱はチームにとっても痛かったが、ついに戻ってくるんだ」

 ただし、バイエルン加入後初めて公式戦のメンバーに入ったからといって、翌日の試合に出場すると予想した人は少なかった。それでも敵地で2点リードした78分に投入され、直後に前田大然にゴールを許したものの、試合は2-1で終了。同胞にネットを揺らされるほろ苦いデビューだったかもしれないが、伊藤本人は試合後に自身のSNSにこう投稿している。

【次ページ】 誰もが前向きに…まさか短期間で終わるとは

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