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「ミウラはクレイジーだ」「お酒も一切飲まないし」フランス権威誌が仰天…カズ58歳のストイック生活「練習ではガチで削ってきますし」
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byKiichi Matsumoto
posted2025/06/14 17:04
58歳となった三浦知良。昨夏発行された『フランス・フットボール』誌のインタビューに応じた
「オリベイレンセにも8カ国ぐらいから集まっているんです。そんなの今はもう普通で、長谷部誠が遊びに来たときに、フランクフルトなんか18カ国だと言っていました(笑)。本当に国際的で、僕のチームもアフリカはガーナやコートジボワール、ナイジェリア、僕が日本でオーストラリアにブラジル、ポルトガルといろいろなところがいて面白かったです。
何故か今回はアフリカ系の選手と仲良くなりました。今日はフランスの雑誌(FF誌)の取材ですが、アフリカ系フランス人もふたり(イブラヒマ・カリル=グリアシ (2024年1月まで在籍) とジュリアン・レムボト(2024年1月加入)がいて、いつも僕が送り迎えしていた。ちょっとフランス語を教えてもらったりして。
ふたりはボランチでした。どちらも身長は190cmぐらいあって、すらっとしてプレーもダイナミックでスピードもパワーもある。ひとりは練習後に居残りで練習を――真ん中でボールを貰ってサイドにロングキックを蹴る練習をしていたのですが、その相手を僕にやってくれと頼まれて、週に3回ぐらい居残りでやっていた。
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フランス人が全員そうとは限りませんけど、ふたりとももの静かなんです。人とつるんだりしないし、大人しいというか、ラテンとまた違った感じでシャイというのか……。でも話せばすごく話してくれて、笑わない奴だと思っていたんですが、仲良くなると心を打ち明けてくれた。すごく真面目でしたね。サッカーのことを真剣に考えている。試合に出られなくなると、ブラジル人やポルトガル人は監督のことを結構言いますけど、彼らは言わなかったですね」
お酒は一切飲まないし、社交場も…
日本のJFL(実質4部リーグ)からポルトガルの2部へ。それも55歳でのジャンプアップは、普通では到底考えられないことである。いかにもカズらしいという言い方もできるが、そもそもどうしてポルトガルだったのか。
「試合に出られるかどうかわかりませんけど、とにかくあそこに行ってプロ選手として練習をし、試合出場のチャンスもある環境に身を置けるのは、あまりないことなので思い切って飛び込みました。
最初の半年が過ぎて2年目の契約になったときは、もっと試合に出てゴールをしたいという思いが強かった。だからもう1年挑戦したいと思いました。どのぐらい試合に出てどのぐらい使ってもらえるかを確認してから行ったんです。
しかし自分が思い描いていたような出場機会はなかったし、使われ方をされなかった。1点でもいいから取りたい。0と1では全然違うので、1ゴールでいいからポルトガルの2部リーグで取りたいという思いでやっていました。達成できなかったのは非常に残念で悔しかったですね」
オリベイレンセのあるオリヴェイラ・デ・アゼメーイスは、ポルトガル中部に位置する人口6万人の小さな街である。大都市ポルトへは車で35分。観光名所と呼べるようなものは何もない。
「どこに行くのもだいたい5分ぐらいで行けちゃうんです。スタジアムも練習場もレストランも。日々の暮らしがルーティーンをこなす合宿のような感じでした。日本からゲストが来たときにポルト観光に連れて行くぐらいで、どこにも遊びに行かなかった。当然お酒も一切飲まないし、誘われても夜の社交場にも行かなかったです」
〈つづく。フランス人同僚に“詰められた日”などの真相とは?〉

