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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「まとめるレースよりもチャレンジを」なぜ東京マラソンで有力ランナーたちは“果敢な挑戦”を選んだのか? テレビに映らなかった「本当の収穫」
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenaga
posted2025/03/04 06:01
九電工の赤崎暁(左)や青学大の太田蒼生(中)、Kaoの池田耀平など有力ランナーは好結果ならずも、その果敢なチャレンジに収穫を口にした
「まとめるレースよりもチャレンジしたいという気持ちが本人は強かった。指導者がそれを制限する必要はないと私は強く思っています」
池田を指導する高岡寿成監督も、教え子のチャレンジを後押ししていた。
池田と赤﨑は第2グループで淡々とハイペースを刻んだ。その表情は余裕があるようにも映っていたが、終盤になり気温も上昇するにつれ、次第に苦しくなった。
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31km過ぎに赤﨑が遅れ、池田も35km過ぎに後退し、日本人トップの座も40kmを前に市山翼(サンベルクス)に明け渡した。
2人とも最後まで走りきったものの、池田は2時間6分48秒で14位、赤﨑は2時間7分48秒の17位でレースを終えた。まずまずのタイムにも思えるが、共に自己記録にも届かなかった。
結果は良くはなかったが…手にした「収穫」
ただ、果敢なチャレンジは実らずとも、確かな収穫はあった。
「(1km)3分ペースまでしか突っ込んでいったことがなかったので、2分55秒、56秒で進めたのは自分にとって未知の世界。今回はすごく良い経験になったのかなと思っています」
赤﨑はこうレースを振り返った。
「感覚的なところで(5km)14分40秒から45秒ぐらいでも、もう少し余裕をもっていけるかなって思ったのですが、序盤からちょっと力を使っている感じがあったのが、最後に響いてしまった」
池田は終盤の走りを悔やむが、「攻めた結果」と受け止めている。納得のいくレースにはならなかったが、前向きだ。
「結果的には良くはなかったですけど、速いペースでいって35kmぐらいまで行けたことはプラスにしたい。次はどういった目標を設定するかまだ分からないんですけど、この経験を次につなげていきたいと思います」
ロサンゼルス五輪の選考もいよいよ始まる。
今回の東京マラソンが「必要な失敗だった」と言い切れるかどうかは、今後次第だろう。
太田にしても、赤﨑と池田にしても、世界トップのハイペースを体感したことは得難い経験になったはずだ。むしろ、それ以上に大事なのは、その経験をどう生かすかだ。


