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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「まとめるレースよりもチャレンジを」なぜ東京マラソンで有力ランナーたちは“果敢な挑戦”を選んだのか? テレビに映らなかった「本当の収穫」
text by

和田悟志Satoshi Wada
photograph byYuki Suenaga
posted2025/03/04 06:01
九電工の赤崎暁(左)や青学大の太田蒼生(中)、Kaoの池田耀平など有力ランナーは好結果ならずも、その果敢なチャレンジに収穫を口にした
果敢なチャレンジをしたのは太田だけではなかった。赤﨑暁(九電工)と池田耀平(Kao)は、太田と同じ第1グループではなかったものの、日本記録を上回る2時間3分台に設定された第2グループでレースを進めた。
今秋の東京世界選手権を目指すなら第3グループ(2時間4分30秒~2時間5分0秒)に位置取るのが得策だっただろう。だが、赤﨑と池田はそうはしなかった。それは世界を知っているからこそ、次なるステップに踏み出すためのチャレンジでもあった。
2人にとって昨年は飛躍を遂げた年だった。
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赤﨑はパリ五輪で6位入賞を果たし、池田はベルリンマラソンで日本歴代2位の2時間5分12秒をマークして6位に入っており、共に世界の舞台で結果を残した。その一方で、世界トップ選手とは、スピードという点で遅れをとっていることも痛感した。
「パリ五輪はスピードレースではなくて、坂のあるレースだったので戦えましたけど、スピード化となると日本は遅れているところがある。そこに置いていかれないように、スピード強化もやっていかないといけないのかなと思いました」
五輪という舞台で6位入賞したにもかかわらず、赤﨑は「単純に世界との力の差を感じた」とも言う。
「第3集団で行っても、勝負に絡めない」
一方の池田も、前々日の囲み取材の場でこんなことを話していた。
「スピード強化は、トラックも含めてやっていかなければならない部分だと思う。ベルリンマラソンは6番で、良くもないですし、先頭を走ったわけではないので」
さらに一段高いところを見据えた時に、課題は明確だった。もちろん1レースだけでその課題を克服できるわけではない。それでも、世界との差を縮めるためには必要なチャレンジだった。
「仮に世界陸上に出場することを考えた時に、第3集団で行っても、世界の選手との勝負には絡めないと思っていた。世界は2時間3分、4分が当たり前の時代になってきているので、そういったところで自分自身も勝負したいという思いで第2集団にしました」
レース後に池田は第2グループで進めた意図をこのように明かした。


