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「日本を狙った」の声も…長野五輪後のルール改正「海外は露骨」「小柄な選手は苦しかった」 船木和喜が痛感した“スキージャンプの欧州中心主義”
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byWataru Sato
posted2025/03/04 11:02
今も現役を続ける五輪金メダリスト・船木和喜(49歳)が考える、スキージャンプ界のルール改正
繰り返されるルール改正に、船木の実感
道具が変わるばかりではない。
「ジャンプ台もそうですよね。溝の幅とか。海外の大きい選手に合わせた溝の幅なんですね。日本人は背が低いし足が短いじゃないですか。すると、力をちゃんと下に伝えられないような幅になってしまって、やっぱり滑りづらいんですよね」
より飛距離が伸びることによる危険性、遠くへ飛びたいがために、以前のルールのもとでは選手の過度の減量が問題視されたこともある。繰り返されてきたルール改正をたどれば、根本にあるのは選手の安全を守るという側面がある。
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そのうえで、船木は実感をこう語る。
「ルールが変わった時点で、それまで飛べなかった選手が距離を飛び始めるんですよ。それに対して差を縮めていくと、違うルールにポンと変えられてまた離されて、というのを繰り返していました」
その中で船木は世界と対峙してきたが、もう一点、日本が後れを取りがちな要因があるという。《インタビュー第3回に続く》
