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甲子園の風BACK NUMBER
大阪桐蔭や履正社は「(君たちは)眼中にない。相手とも思ってない」…“殿堂入り決定”イチロー氏が指導で球児に伝えた真意「同じ練習では…」
posted2025/01/23 06:31
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
JIJI PRESS
近年の大阪の高校野球は2強とも言われている大阪桐蔭、履正社による覇権争いが続いている。
前編で述べたように、かつては大阪桐蔭との激闘を演じたことがあるとはいえ、それから7年間、大冠は府内でもなかなか上位進出できない大会が続いていた。昨秋は府大会3回戦、夏は府大会2回戦(初戦)で敗れている。
愛知県の「私学4強」のひとつの愛工大名電でプレーしてきたイチロー氏目線で、自身が他の4強の東邦、中京大中京、享栄としのぎを削ってきたように、こちらが大阪桐蔭と履正社を意識していても「2校からすれば府内ベスト16のチームは眼中にはない。そこに挑むことになる」とイチロー氏は厳しい口調で選手らに訴えた。
「強豪と同じ練習では自分たちは追い越せない」
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主将の加藤日向はこう振り返る。
「自分としては悔しかったです。強豪からの目線を初めて聞いて、よく考えればそうだなと思いましたし、実際に自分たちはそこを上回るような練習もまだできていません。強豪と同じ練習では自分たちは追い越せないので、普段の練習から高い意識を持っていないといけないですし、細かい部分も詰めながら厳しくしていかないといけないと思いました」
チームを率いる東山宏司監督もイチロー氏の言葉ひとつひとつを厳粛に受け止めていた。
「本当に言っていることはもっともだと思いました。イチローさんも高校時代は愛工大名電でプレーしていて、“愛知県の私学4強”以外は全然意識していなかったと。大阪では大阪桐蔭と履正社からすれば、8強とか16強の学校は眼中にない。眼中にないっていう言い方は語弊があるかもしれないけれど、相手にしていないっていうのはありますよね」
ちなみに大冠高校は履正社や大阪桐蔭ともよく練習試合をしており、手の内はどことなく把握はしている。とはいえ近年の戦績から見ても、甲子園で優勝も遂げている2校からは、大きく水をあけられているのが現実だ。