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甲子園の風BACK NUMBER
「大阪の公立校」でも「本気で甲子園を目指したい」…大冠高校が“米殿堂入り決定”イチロー氏に伝えた想い レジェンドからの“まさかの反応”は?
posted2025/01/23 06:30
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph by
JIJI PRESS
アジア人で初となるMLB殿堂入りが決まったイチロー氏。現役引退後、高校生など若い世代への啓発にも力を入れている同氏が昨年指導に訪れたのが、大阪の府立大冠高校だ。レジェンドとの交流の中で、選手たちは何を学んだのだろうか。《NumberWebインタビュー全2回の1回目/つづきを読む》
2020年から始まったイチロー氏による高校野球訪問指導。最初に訪問した智弁和歌山に始まり、北は北海道、南は沖縄まで公立高校や私立高校など多くの高校を渡り、“イチロー節”も交え、身振り手振りで指導に当たる姿は、ニュースが流れるたびに話題となっている。
そして5年目となった2024年。11月にイチロー氏が訪問したのは大阪・大冠高校だった。
大冠高校は17年夏の大阪大会の決勝で大阪桐蔭を終盤までジワジワと追い詰めるも、あと一歩届かず準優勝に終わった。だが、その戦いで見せつけた力強いスイングに大きな注目が集まった府立屈指の実力校だ。
イチロー氏が指導に訪れたいきさつは?
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電撃指導が実現した経緯を97年から同校の指導にあたる東山宏司監督はこう明かす。
「2023年の12月にウチと何度も練習試合をしている沖縄の宮古高校にイチローさんが指導に行かれたことを知って、監督にその経緯を電話で聞いたんです。まず、選手が手紙を出して実現したということで、手紙の送り先なども教えてもらって。昨年度の1、2年生で手紙を書いて出して、1年くらいしてから実現しました」。
手紙の内容は「大阪の公立でも本気で甲子園を目指したい」。ただ、手紙を出したからといって100%指導に来てもらえる訳ではなく、そこに至るまでは関係者とのやり取りやチームの状況を見てもらうのだが「その本気度を厳しい目で見たい」というイチロー氏側の思いが判断の決め手になったという。
11月9日、10日と2日間にわたるイチロー氏による指導は実に濃密な時間だった。