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「イチローに入れなかった26人」の理由→「好き嫌い」か、それとも…野球殿堂の権威を揺るがす「投票者非公開」に問われる“プロの記者”の矜持 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2025/01/17 17:00

「イチローに入れなかった26人」の理由→「好き嫌い」か、それとも…野球殿堂の権威を揺るがす「投票者非公開」に問われる“プロの記者”の矜持<Number Web> photograph by JIJI PRESS

野球殿堂入りし、笑顔を見せるイチローさん 

 内容は以下の2点だった。

 1つは資格取得1年目には誰であろうと投票しないという人がいる、ということ。

 今年の殿堂入りの競技者表彰、プレーヤー表彰の候補者は28人で、そのうちイチローさんと共に巨人の阿部慎之助監督、元巨人などで投手として活躍した上原浩治さん、元ロッテの内野手、福浦和也さんの4人が新たに資格を取得した候補者だった。その中からイチローさんだけが殿堂入りを果たしたが、とにかく資格取得1年目の候補者を殿堂入りさせることが、殿堂の権威を落とすという考えを持つ人もいるという。

「人間性」に疑問符?

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 またそういう単純な権威主義ではなく、7名連記での投票では1年目の候補者より、過去に候補入りしながら殿堂入りできていない候補者を優先すべきだ、という考えの人もいる。多くはそういう意見でイチローさんへの投票を見送ったのではないかということだ。

 そしてもう1つは野球の成績ではなく、イチローさんの人間性に疑問を持ち、殿堂入りに相応しくないと考えている記者もいるかもしれないということだ。

 要は好きか、嫌いか。そこには過去の取材での様々な出来事も絡んでくるだろうし、感情もあるのだろう。イチローさん自身が自らを「人格者ではない」と認めているように、万人から好かれるタイプではないのは確かである。

「好きか、嫌いか」でいいのか

 ただ野球のプレーとそのプレーから残してきた数字、記録は格別である。それをも超える好悪の感情となれば、それもまたしっかりと説明が聞きたいものである。

「多くの人が常識だと思っていることを疑い、大事な決断は自らしてきました。第三者の意見ではなく、感性に基づき行動してきたことは大きな要因の一つだと思います」

 野球殿堂博物館を通してコメントを発表したイチローさんは、自らのプレーとその結果として残してきた記録の原動力を問われ、こんな言葉を語った。そして高校生の指導で大事なことを問われた際は、回答の最後に「ナメた子供は叱る」と言い放つと、今後に取り組みたいことは「ナメた大人も叱る」と、らしい言葉で締め括った。

【次ページ】 「5年待たなくても…」王会長の思い

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