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「オオタニとは交渉もできなかった」ヤンキースGMが“過去の大谷翔平移籍”に恨み言…佐々木朗希“交渉期限は残り3週間”、米メディアが報じた「ドジャースではない…本気の2球団」
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生島淳Jun Ikushima
photograph byJIJI PRESS
posted2024/12/27 17:14
佐々木朗希(23歳)は来年1月15日~23日にMLB球団と契約を結ぶとみられる
三振率とは、「三振数÷対戦打者数」で導ける。四球率は「四球数÷対戦打者数」。
三振率から四球率を引いた指標「K%-BB%」は、アメリカの分析手法で長らく使われてきたが、サリス記者は、この数式が日本で育った投手たちの力量を計る手段として有効と判断して紹介している。それを見ると……。
鍵となる数字は「20.0」以上だ。
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日本で優れた「K%-BB%」を残していれば、メジャーリーグで防御率3点台の投球を続け、大谷、ダルビッシュ有、田中のように複数年にわたってチームに貢献できる可能性が高い、と読み解くことができる。今後、千賀、山本由伸、今永がどういう数字を残していくかが楽しみだ。
サリス記者が示した表に対し、私が個人的に加えたのが黒田博樹だ。黒田の場合は奪三振が少ないために数値は13%台に落ち着いたが、打たせて取る投球スタイルはメジャーでも十分に通用し、投球回数はダルビッシュに次ぐ日本出身の投手としては2番目の数字を残している。
不安要素は「投球回数」と「急落」
さて、佐々木だ。
三振が取れて、制球が良いから数値は圧倒的である。この数字だけなら大谷、ダルビッシュ以上に相手をドミネート、圧倒できるポテンシャルを持っている。
不安材料があるとするならば、2022年から2024年までの3年間の投球回数が331回1/3と少なく、ダルビッシュの616回、山本由伸の550回2/3と比べるとサンプル数として少ないと見ることができる(大谷は326回だった)。
そしてもうひとつ、サリス記者が不安材料として挙げているのが、2024年の「K%-BB%」が、2022年、2023年の30%台から21.6%へと「急落」していることだ。
もっともこの数値は、佐々木がシーズンを通して投球回数を稼げるようにスタイルを変えたことが影響しているとは思う。
佐々木朗希という投手には未知の部分が多く、不安を挙げればキリがない。しかし、メジャーリーグの球団は「可能性」に投資をすることも確かである。この数値を見る限り、楽しみは広がる。
クリスマス前に面談した“4球団”の名前
ではいったい、どの球団が佐々木にフィットするのだろうか?

