巨人、田中将大獲得の意図

　あと3つで200勝でしょ。実績があるから多少はね、阿部（慎之助）監督もチャンスは与えるとは思うんだけど。大記録を達成する選手がいれば、チームの雰囲気は良くなりますからね。そういう効果を見込んだことが、獲得した最大の理由だと思う。純粋な投手力アップというよりは、精神的な柱として。巨人の先発ピッチャー陣、みんな若いからね。

――振り返れば岩隈久志投手や、野手では松田宣浩選手も、現役最後に巨人へ移籍しました。若手に及ぼす好影響というのは具体的には？

江本　特に若い選手っていうのは、実績がない人のアドバイスに対して、不安に感じるじゃない。こんな言い方は変かもわからないけど、最近どの球団にもいないんだよ、レジェンド級の実績をもつコーチが。一方で、田中のように実績があれば、選手は聞いてみよう、真似してみようって思うじゃない。スランプだったり、大一番だったり、修羅場をくぐり抜けてきた。そういう経験と実績があるベテランに、若手選手は質問してみようって考えるからね。

ソフトバンクからFAで巨人に移籍した甲斐拓也、32歳。巨人の正捕手の座をつかむか？ ©Hideki Sugiyama

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――田中投手のほかに、巨人はソフトバンクからFAで甲斐拓也捕手も獲得しました。甲斐捕手といえば2023年WBCの侍ジャパンに選出されたように、日本を代表する捕手。この獲得をどう見ていますか。

江本　巨人に捕手はいた。岸田（行倫）、小林（誠司）、大城（卓三）。若手に山瀬（慎之助）もいる。ただ、その中で誰か一人が正捕手に、というところまでは育て上げられなかった。強みはそれぞれある。「肩」は小林、「キャッチング」は岸田、「バッティング」は大城。だけど、帯に短し襷に長しと言うべきか、絶対的な存在にはなれなかった。そこを不安視して万全を期すためにも、ベテランの甲斐を獲得したということでしょう。

阿部監督の本音は？

――甲斐捕手が加入したので、捕手の数が溢れているようにも見えます。そこで注目されるのが、甲斐移籍にともなうソフトバンクへの人的補償です。巨人は小林捕手をチームに残すべきでしょうか。

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