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巨人“田中将大・ライデルW獲得”決定的のウラで「FAで最近フラれがち」「現守護神の大勢は…配置転換?」成績に見る懸念と大物選手の処遇 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byJIJI PRESS/Hideki Sugiyama

posted2024/12/17 06:00

巨人“田中将大・ライデルW獲得”決定的のウラで「FAで最近フラれがち」「現守護神の大勢は…配置転換?」成績に見る懸念と大物選手の処遇<Number Web> photograph by JIJI PRESS/Hideki Sugiyama

田中将大とライデル・マルティネス。隠れた注目点は巨人のFA戦線との兼ね合いにもある

 3年間、クローザーとして活躍し、WBCやプレミア12にも選出され「日本を代表するクローザー」になりつつあった大勢の配置転換は、実に惜しい。ポジション被りをいとわない補強は、巨人の伝統ではあるが、これも懸念材料ではある。

菅野がMLB移籍→田中獲得は理にかなっている

 さらに12月16日になって、巨人は楽天の保留選手名簿から洩れていた田中将大を獲得すると報じられた。

 エース菅野智之が海外FA権を行使してMLBに移籍すると報じられる中、楽天の絶対的なエースだった田中獲りに動いたのは、誠に理にかなった補強だといえよう。

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 すでにこのコラムでも紹介したが、田中は2021年にNPBに復帰してから3年間で、両リーグ通じて5位に相当する458イニングを投げている。しかし援護点が極端に少なかったために20勝32敗と大きく負け越した。昔のような「ギアチェンジ」は見られなくなったものの、田中の投球技術は錆びついていない。

 2023年オフに「右肘関節鏡視下クリーニング術」を受けたこともあり、2024年は1試合の登板にとどまったが、まだまだ活躍する可能性はあるだろう。過去にも他球団の大物選手が、キャリア後半に巨人に移籍するケースはしばしば見られた。

関根潤三:近鉄(1950-64)→巨人(1965)
金田正一:国鉄(1950-64)→巨人(1965-69)
張本勲:東映・日拓・日本ハム(1959-75)→巨人(1976-79)
松原誠:大洋(1962-80)→巨人(1981)

 FA権導入後も以下のようなケースがある。

落合博満:ロッテ(1979-86)→中日(1987-93)→巨人(1994-96)
広沢克己:ヤクルト(1985-94)→巨人(1995-99)
川口和久:広島(1981-94)→巨人(1995-98)
清原和博:西武(1986-96)→巨人(1997-2005)
小笠原道大:日本ハム(1997-2006)→巨人(2007-13)
杉内俊哉:ダイエー・ソフトバンク(2002-11)→巨人(2012-18)
村田修一:横浜(2003-11)→巨人(2012-17)

 なおFA以外だと近年は岩隈久志、中田翔、松田宣浩らといった選手も巨人に入団した。

田中が「最後のひと花」を咲かせる可能性が

 今の巨人は、FA選手の起用に問題を抱えている分、権利を獲得した選手の優先度が下がった印象があるが、かつてはそうではなかった。

 なんといっても巨人は川上哲治、ONなど、球史に残るレジェンドを数多く輩出してきた球団であり、スター選手にどんな待遇を用意すべきかを心得ていたのだ。

 田中に関しては、昨今のFA移籍選手のような扱いはしないだろう。日米通算200勝まであと3勝と迫っているが、それを達成するだけでなく、ベテランらしい投球で「最後のひと花」を咲かせる可能性は十分にあると思う。

 筆者も来季、東京ドームで新しいユニフォームをまとった田中将大の雄姿をぜひ見たいと思う。

〈プロ野球ストーブリーグ特集:つづく〉

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