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「僕と比べるのは失礼ですよ」ドイツで未だ現役プロ選手…本当の“最後の松坂世代”久保康友(44歳)が盟友の引退に思うこと「和田は本当にすごい」 

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沢井史

沢井史Fumi Sawai

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photograph by(L)Hideki Sugiyama、(R)AFLO

posted2024/12/05 17:29

「僕と比べるのは失礼ですよ」ドイツで未だ現役プロ選手…本当の“最後の松坂世代”久保康友(44歳)が盟友の引退に思うこと「和田は本当にすごい」<Number Web> photograph by (L)Hideki Sugiyama、(R)AFLO

1980年生まれのいわゆる「松坂世代」の和田毅(左)と久保康友。世代最後のNPB選手の引退に、未だ現役を貫く久保は何を思ったのだろうか?

 だからこそ、今は野球を好きなように続けたい。もちろん、家族と話し合い、了解を得た上だが、海外を飛び回る近年の自分を”遊び“だとか”趣味“と表現している。

 さらに久保はこう続ける。

「和田は今まで長い間、どこかに痛みとか抱えながら相当大変な思いで現役を続けてきたんじゃないかと思います。節々のここが痛いとかしんどいとか本音を打ち明けたくても、今は同世代の選手がチームにいないから打ち明けづらい現状もあったと思いますし、孤軍奮闘だったんじゃないですかね。それに耐えながらやり続けるって相当なメンタルですよ」

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 野球のシーズンオフになると、キャリアを積んだ30代半ば以降の選手がプレーヤーとしては晩年になり、現役を続けるか引退するかという話題がどこかで上がる。久保も同じ年代になった時、そういった葛藤が常にあった。

キャリアを積むと浮かぶ「何のために投げているのか」

 そこで痛感したのが、自分をいかにマネジメントできるか。“マネジメント力”の巧さが人生を左右する、という現実だった。

「スポーツ選手は年齢が増すほどフィジカルもメンタルも大事になってきます。自分も今でも、何のために投げているのかと自分によく問いかけています。今の僕は気が向いた時に練習をやればいいですけれど、NPBにいると辞めたくてもチーム状況により辞めづらい事情もあるはずです。後々の自分の価値を考えれば辞め時に慎重になると思いますが、僕は(NPBを辞めた時は)そんなことを一切考えなかったですね。今思えば、もう少し考えても良かったのかなと思いますけど」

 それでも久保は異国の地で腕を振り続けることに、どこか生きがいを感じている。

 自身では“遊び”とやや自嘲気味に表現しているが、本気度が違っていても野球の不毛の地のリーグに今年若い日本人選手がやってきたように、久保が野球の伝道師のような存在になっているようにも見える。

【次ページ】 「欧州の人の力の抜き方を日本人も学んだ方がいい」

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