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「恐る恐る見たら左腕がぶら下がっていて…」緊急搬送の大怪我から9カ月…ロッテ・本前郁也が歩む復活の道と「勇姿を見せたい」あの人への思い
text by
梶原紀章(千葉ロッテ広報)Noriaki Kajiwara
photograph byChiba Lotte Marines
posted2024/11/28 11:04
復活への道を歩みだした本前は、尊敬する和田にいつか勇姿を見せたいと誓う
次々に届いたメッセージ
沢山の人に励まされた。ファンからもSNSに沢山のメッセージが届いた。同様の骨折の経験のあるお笑い芸人「NONSTYLE」石田明さんからも励ましの言葉をもらい、お笑いライブにも招待してもらった。
ドラゴンズの岡田俊哉投手も下半身だが同様の骨折の経験者。エールをくれた。ありがたかった。そして毎年1月に長崎で一緒に自主トレを行うホークスの和田毅投手も親身になって心配してくれた。ショッキングなニュースを目にした時のことを和田は「1月の自主トレで、本前はすごく状態が良かった。凄い球を投げていた。今年は凄いぞと楽しみにしていた矢先だった。本人はものすごく悔しかっただろうし、辛かったと思う」と振り返り、本前を気遣った。
「焦らずやれよ」和田からの激励
「すぐに連絡いただきました。手術の前に『無理をするな。焦らずやれよ』と。その後も、なにかあるたびに連絡をさせてもらいました。いつも励ましてくれた。『投げられない気持ちはわかる。周りはいっぱい投げているけど、焦らないように』と言ってくれた。和田さんは本当に優しい。すごく心配をしてもらいました」と本前。尊敬する大先輩の左腕へ、感謝の思いは尽きない。
和田の自主トレにはプロ1年目を終えたオフに関係者を通じてコンタクトをとり、弟子入りを志願した。縁もゆかりもない大投手。しかも本前は当時、育成契約選手。断られることも覚悟していた。
飛び込みの弟子入り志願に…
「なにも知らない状態でお願いをしました。絶対に他球団の育成のボクなんて知らないはずなのに、二つ返事で『いいよ』と受け入れてくれて。ものすごく親切にこうした方がいいよとかアドバイスをいただきました。野球以外の息抜きも大事だぞと色々なところに観光に行ったりゴルフもやったりとか」
自主トレを初めて行った後の21年のシーズンでは支配下選手登録を勝ち取りプロ初勝利を記録した。
そんな師匠との“別れ”は突然、訪れた。
なにげなくLINEを見ると自主トレのグループメンバー宛に和田から1通のメッセージが届いていた。
和田が長文に綴った想い
「引退します」。その後に、長文で引退を決めた想いがつづられていた。