甲子園の風BACK NUMBER
「夏こそ160キロを出したい」投手歴わずか2年…プロ注右腕の“放言”に監督激怒のワケは? ソフトバンクからドラフト1位指名・村上泰斗に訪れた転機
text by
沢井史Fumi Sawai
photograph byJIJI PRESS
posted2024/11/10 17:00
ソフトバンクから「外れ外れ1位」で指名を受けた神戸弘陵高の村上泰斗。転機となったのは、昨秋あるビッグマウスを監督に窘められたことだという
ドラフト会議で指名された順位は村上がソフトバンク1位、今朝丸は阪神2位だった。
岡本監督は「村上の方が上だった、と私は大喜びしてしまいました」と嬉しさをにじませたが、村上は冷静な表情でこう口にする。
「順位が上だったから自分が勝った、とは思わないです。プロの方からすると評価するポイントや方針がチームによって違うと思いますので。あくまで順位の問題であって、本当の勝負はここからだと思います。勝ったと思えるのは今朝丸君と投げ合って勝ってから。今朝丸君とはこれからも切磋琢磨できる関係でいられたらと思います」
「人間性もしっかり持って謙虚な気持ちを」
プロに入れば早ければウエスタンリーグで投げ合う可能性もある。再び対戦することを心待ちにしつつ、ドラフトが終わってもさらに練習には熱が入っている。
「これまではプロに入るための練習をやってきましたけれど、これからはプロで活躍するための練習をしないといけないと思っています。今は身体を強く、大きくするためのトレーニングも多いですね。プロの世界では、人間性もしっかり持って謙虚な気持ちを大切にしていきたいと思います」
村上にプロに向けた意気込みを問うと、何度も「人間性」というフレーズが出てくる。どんな状況にも冷静に控えめに。もちろん野球で遠慮は必要ないが、相手あっての試合、そしてファンあってのプロ野球選手。野球と人間性を極めた一流選手を目指したいという。
「(同じく高卒投手で日ハムから1位指名された)柴田(獅子)投手もそうですが、自分は劣っている部分は多いです。でも、今朝丸君も含めて同世代の投手は勝っていかないといけない存在です。自分はメジャーリーガーになることが大きな目標です。
1年目はプロの雰囲気に慣れながら身体作りをしていくと思いますが、(日本のプロ野球界で)圧倒的な成績を残したいです。将来は誰からも応援される選手になりたいです。目標は同じソフトバンクだと和田毅さんです。あれだけ息長く投げられているのは人間性も関係していると思うので……。普段の生活から意識していることを、いつか聞いてみたいです」
ライバルとの戦いはむしろこれから本格化する。村上泰斗。ソフトバンクの次世代を担う大きな星となり、マウンドで輝く時を楽しみに待ちたい。