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大谷翔平が発言「世界一をあと9回」その“本当の意味”…じつはドジャース編成が見抜いていた「ヤンキースは守備崩壊する」チームメイトが酷評のウラ側
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2024/11/09 06:00
世界一後、ドジャース編成本部長に対して「あと9回やろう」と言った大谷翔平
ドジャースのアグレッシブな走塁が目立つシリーズだった。右足首のねんざを抱えたままプレーしたフレディ・フリーマンも、足の負傷を感じさせないほど積極的に走っていた。第1戦の1回にレフトへ大きな当たりを放って必死で走り、いきなり三塁打にしたと思えば、第3戦の5回先頭では三塁ゴロの間に一塁ベースまで激走、ヤンキースの三塁手ジャズ・チザムの捕球エラーでセーフとなった。第4戦では2点を追う5回1死一、三塁で二塁ゴロの間に、際どいタイミングで一塁ベースを踏んで塁審から最初はアウトの判定を受けたが、ビデオ判定でそれが覆りセーフとなって追加点につなげた。ブレーブス時代の2021年から続くワールドシリーズ6試合連続本塁打をマークし第1戦では延長10回に逆転サヨナラ満塁弾を放つなど一発での活躍が目立ったフリーマンだったが、それと同じくらい走塁も光っていた。
ヤンキースの守備崩壊を目の当たりにしたのは第5戦の5回だった。
ドジャースが5点を追う無死一塁で、7番トミー・エドマンのライナー性のほぼ正面だったセンターフライをアーロン・ジャッジがグラブの先にぶつけて落球し無死一、二塁とすると、8番ウィル・スミスが三遊間に内野ゴロを打ち、ヤンキースの遊撃手アンソニー・ボルピが捕球して三塁に投げたが送球エラーで無死満塁。次のギャビン・ラックスと大谷は2者連続三振に倒れたが、2死満塁で2番ベッツが一塁へボテボテのゴロを放ち、マウンドにいたゲリット・コール投手が一塁ベースカバーに入らなかったため内野安打となって走者1人が生還。3番フリーマンの中前打で2点を追加し、4番テオスカー・ヘルナンデスがセンター越えの2点適時二塁打を放ちあっという間に同点に追いついた。
「ヤンキースはワースト」「打球を転がせ…」
一見、相手のミスに乗じたラッキーな攻撃だが、ドジャースは実に計画的にヤンキースからミスを引き出すべく戦っていた。ニューヨーク・ポスト紙のジョエル・シャーマン記者は10月31日付の記事で「ドジャースがワールドシリーズ前に行ったミーティングでスカウト陣は選手たちにヤンキースの欠点についてレクチャーした。それは、彼らが才能に頼り基本を疎かにしているという点だった。しっかりと狙いを持ってアグレッシブに走れば、ヤンキースは勝手に自滅してくれる。打球を転がしてインプレーの状況を作り、相手に守備をさせる状況に持っていくことが非常に大事で、データの数値によると外野のポジション取りもメジャーワースト。攻撃面では走塁がとにかくメジャーワーストで、地区シリーズで戦ったパドレスよりはるかに劣っている」と書いている。