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「福島大の練習、エグイな…」男子選手も驚愕…なぜ“福島の国立大学”が女子スプリント界を席巻できた?「毎日がナショナルチーム合宿のようで」 

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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photograph by(L)Hideki Sugiyama、(R)AFLO

posted2024/11/07 11:01

「福島大の練習、エグイな…」男子選手も驚愕…なぜ“福島の国立大学”が女子スプリント界を席巻できた?「毎日がナショナルチーム合宿のようで」<Number Web> photograph by (L)Hideki Sugiyama、(R)AFLO

16年破られない女子400mの日本記録保持者である千葉麻美。その傑出した走力は、当時「最強」と言われた福島大での経験が大きかったという

 こんな名物メニューもある一方で、川本監督は、選手一人ひとりに違った対応をしていたという。練習メニューは個別に立て、その日の調子に応じて内容を変えることも多かった。このように、過酷な練習メニューときめ細やかな指導があって、福島大も千葉も日本一へと上り詰めた。

 千葉が初めて52秒台をマークし日本記録保持者となってから1年後の2005年6月、さらなる快挙を成し遂げる。

 日本選手権で自身の記録を一気に0秒95も更新し、51秒93まで記録を伸ばした。日本の女子選手が51秒台で走るのはもちろん史上初。それどころか、今なお、この領域に達する選手は現れていない。

「予選は最後流して52秒台だったので、決勝は世界陸上のB標準はいけるかもしれないと頭をよぎったのですが、51秒台が出るとは全く思ってもいませんでした。別世界のタイムだと思っていたので、予想以上でした」

初めての世界選手権出場…変わった意識

 B標準とは世界選手権に出場するために必要な参加標準記録のこと。当時はAとBの二段階で設定されていたが、千葉は参加標準記録Bを突破し、その年の世界選手権ヘルシンキ大会に出場を果たした。日本人が女子400mで世界選手権に出場するのは史上初めて。オリンピックを含めても2人目という快挙だった。

「世界選手権のレースが衝撃的でした。52秒80でそんなに悪いタイムではなかったのですが、ダントツのビリ。世界はこんなにも違うんだって、驚きとショックでした。

 ただ、そこから一気に世界が変わりました。今まで世界に行くのはなかなか難しいと思っていたんですけど、オリンピックも頑張ればいけるんじゃないかなと手応えを感じました」

 オリンピックに出場することは、千葉にとって子どもの頃からの夢だった。その夢が手の届くところまで来ていた。

 9月のスーパー陸上では外国人選手と競り合って51秒80と、再び日本記録を更新すると、2007年の世界選手権大阪大会では、女子短距離種目で日本人初の準決勝進出を果した。

 2008年には現日本記録となる51秒75をマーク。そして、ついに日本代表として北京オリンピックの舞台に立った。

 オリンピックの女子400mに日本人が出場するのは、実に44年ぶりの快挙だった。

<次回へつづく>

#3に続く
「ひとりでは無理だと思います」4大会連続五輪出場なし…低迷中の女子ロングスプリント界“最古の日本記録保持者”が語る「世界への壁を崩すには」

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