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田中希実「じつは優勝していない」インターハイ…全国制覇した“同じ高校の天才少女”は何者だった?「中学生で高3生に圧勝」「東京五輪のホープ」

posted2024/08/06 11:01

 
田中希実「じつは優勝していない」インターハイ…全国制覇した“同じ高校の天才少女”は何者だった?「中学生で高3生に圧勝」「東京五輪のホープ」<Number Web> photograph by KYODO

パリ五輪代表の田中希実(右)を退けてインターハイ1500mで優勝した高橋ひな。当時から天才少女として名をはせていた

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和田悟志

和田悟志Satoshi Wada

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KYODO

 パリ五輪の注目選手で、日本女子中長距離界の第一人者である田中希実(New Balance)。そんな彼女だが、実は高校時代にインターハイで全国の頂点に立った経験はない。在籍した西脇工高は、田中が高2時の1500mで「表彰台独占」の快挙を達成しているが、彼女は2位。では、その時に頂点に立った「天才少女」とは、一体どんな選手だったのだろうか。《NumberWebノンフィクション全3回の1回目/つづきを読む》

 前回の東京五輪は、日本の女子中長距離界にとって歴史的な大会になった。

 1972年のミュンヘン五輪から女子1500mが行われるようになったが、それまで日本人はなかなか出場を果たせずにいた。ところが東京五輪では田中希実(New Balance、当時は豊田自動織機TC)と卜部蘭(積水化学)が日本人として初めて出場に漕ぎつけ、田中は8位入賞の快挙を成し遂げた。

 そして、今回のパリ五輪にも田中と後藤夢(ユニクロ)の2人が1500mで世界に挑む。

 兵庫県出身で同学年の田中と後藤は、中学時代から切磋琢磨し合い、兵庫・西脇工業高ではチームメイトになった。

インターハイで表彰台独占…頂点に立ったのは?

 彼女たちが高校2年生だった2016年のインターハイ。西脇工業高勢が女子1500mの表彰台を独占している。ただ、この時に表彰台の最も高いところに立ったのは、田中でも後藤でもなかった。見事に高校日本一に輝いたのは、彼女たちの1学年先輩である高橋ひな(現新日本住設グループ)という選手だった。

「2人は練習でもめっちゃ強かった。一緒に練習すると毎回やられていました。勝てたのは、ほんまに最後のインターハイだけです」

 ケガが多かった高橋にとって、インターハイ決勝の舞台はのちにオリンピアンになる2人の後輩に勝利する千載一遇のチャンスだった。そして、その機会を逃さなかった。

 この時の高橋の優勝を伝える多くの報道には“復活”の文字が付いて回った。

「“復活優勝”みたいな書かれ方をされましたが、個人的には1500mは“びっくり優勝”みたいな感じでした。自分の中では完全に復活した感覚はあんまりなかったですから。現に800mに関してはボロボロで、走れなくなっちゃっていたので」

 そうなのだ。高橋は早い時期から“天才”の名をほしいままにした中距離ランナーだった。

【次ページ】 中学生で高3に勝利…東京五輪のホープに

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