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「今でもオオタニのユニフォームを売っています」大谷翔平が消えた“エンゼルスの今”、史上最悪99敗でも…公式ショップ店員が証言「日本人ファンが来てくれる」
text by
田中仰Aogu Tanaka
photograph byAFLO
posted2024/10/28 11:02
球団ワースト記録の99敗を喫したエンゼルス。筆者は現地アナハイムを訪れた
「今シーズンは最悪だった。本音を言うと、もう見ていて楽しくないというところまで来てしまったんだ。たとえば1990年代も低迷していたけれど、そのときは多少なりとも試合を楽しんで見られていた。ギャレット・アンダーソンやジム・エドモンズ、トロイ・グロースといった、見ていてワクワクする選手がいたから。若き彼らが成長していくのが見ていて楽しかったんだ。だけど今年は、ベン・ジョイスら若手の有望株もいるけれど、大半が負傷した。あるいはザック・ネトやオーハッピーのように絶不調に陥ったんだ。だから9月に入ってからは本当に辛かったよ。エンゼルスの試合を見るか、庭の芝刈りをするか。どちらか選べと言われたら、芝刈りを選ぶほどに」
取材前日に聞いたスポーツ・イラストレイテッド誌のニック・セルベ記者の見方によれば、エンゼルスの致命的課題はオーナーにある。つまり、大谷翔平を引き止められなかったこと、大谷移籍後のチーム作りのビジョンが欠けていたことに、ファンは苛立っているはずだと。チャック氏もその意見に同調する。
「ある程度は真実だと思う。エンゼルスのオーナー(アート・モレノ)は問題を抱えている。今の立場を退く必要があるよ。GMに仕事を引き継がせるべきだね。ビジョンの欠如は、最大の問題だ。たとえば、オオタニを引き留める余裕がなかったのならば、彼がチームを去った後のプランBが必要だよね。もちろん、オオタニの代わりは絶対にいない。とはいえ少なくとも、シーズン中のトレードでいい選手を複数人獲得することはできたはずだよ。それが実現しなかった。ケガ人の続出も大きかったけど、オオタニ移籍に伴う大失敗がエンゼルスの苦戦を決定づけたね」
エンゼルスに希望はあるのか…
大谷とのコンビ“トラウタニ”で親しまれたトラウトは、左膝半月板を損傷し戦列を離れた。「ファンのみなさんと同じように、胸が張り裂けそうな思いでフラストレーションを抱えている。多くのファンを失望させたであろうことは理解しているが、よりいい選手になって復帰できるよう全力を尽くすので、信じてほしい」。8月1日、自身のXでそう発表し、シーズンを終えた。エンゼルスとの契約はトラウトが39歳を迎える2030年まで残されている。近年はケガに泣かされる日々が続くが、ファンの支持は依然として高い。