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「今でもオオタニのユニフォームを売っています」大谷翔平が消えた“エンゼルスの今”、史上最悪99敗でも…公式ショップ店員が証言「日本人ファンが来てくれる」 

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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posted2024/10/28 11:02

「今でもオオタニのユニフォームを売っています」大谷翔平が消えた“エンゼルスの今”、史上最悪99敗でも…公式ショップ店員が証言「日本人ファンが来てくれる」<Number Web> photograph by AFLO

球団ワースト記録の99敗を喫したエンゼルス。筆者は現地アナハイムを訪れた

「トラウトのモチベーションは消えていない。彼はプロフェッショナルだ。常に全力を尽くすし、手を抜かないよね。ここ数年、ケガが続いているのもそのためだと思う。一方で、チームはトラウトを、(負担の大きい)センターでなくレフトや、あるいはDHにするなどして、体を休めさせてほしい。彼をシーズン全試合ずっとフィールドにいられるようにするのが現場の仕事だよ」

 アメリカ人記者によるオーナーシップ批判、そして怒りも諦念も入り交じるチャック氏の言葉を聞くにつけて、こんな疑問が浮かぶ。エンゼルスに希望はあるのか。シーズン終了直後の今、どれほどポジティブな解釈を試みようともチーム向上の好材料は見えてこない。

「野球の素晴らしいところは、(シーズン前の)春季トレーニングで希望が絶え間なく湧き出ることだよ。昨年のポストシーズンだって、テキサス・レンジャーズとアリゾナ・ダイヤモンドバックスがワールドシリーズに進出するとは誰も予想していなかった。今季のパドレスだって、フアン・ソトを(ヤンキースに)放出したのにプレーオフに出場した。そんな例だってあるのだから、今は苦しくても、エンゼルスを信じることはやめないよ」

「いまもオオタニのユニフォームを売っている」

 チャック氏の話を聞いた翌日、筆者はアナハイムのエンゼルスタジアムに向かった。ロサンゼルスのダウンタウンから車で50分ほど南下したカリフォルニア州オレンジ郡にある。訪れる前、あるアメリカ人記者から「街の退屈な場所にあってあまり(球場が近くにあるという)雰囲気がない」と教えられたとおり、球場の周囲にはただただ駐車場が広がっている。飲食店が多く集まるドジャースタジアム周辺とは違い、試合前後に楽しめるようなバーも少ない。アウトレットがあって閑静で住みやすそうとも言えるが、米記者の“退屈”という表現もわかる。

 ア・リーグ西地区の最下位だったエンゼルスはポストシーズンに出場していない。ドジャースやヤンキースと異なり、すでにシーズンを終えている。だから当然、この日の球場には人がいなかった。エンゼルスのグッズを扱うショップは開店しているが、ゴーストタウンのようにひっそりしている。1時間近く球場周辺を歩いてみたが、誰にも会わなかった。

 グッズショップに入る。女性店員がひとり。店内を回ると、チームに所属していない選手のユニフォームが飾られている。大谷である。

 背番号17が去ってから1年が経つ。それなのに、なぜ……。エンゼルスの帽子を買いながら店員に尋ねる。

【次ページ】 「日本人ファンが来てくれる」

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