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「3年で収入1兆1362億円」FIFAやUEFAの拝金主義が日本代表“アウェー地上波放送ない問題”やバロンドール候補MFの大ケガと無関係ではないワケ 

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井川洋一

井川洋一Yoichi Igawa

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photograph byGetty Images/Kiichi Matsumoto

posted2024/10/20 11:03

「3年で収入1兆1362億円」FIFAやUEFAの拝金主義が日本代表“アウェー地上波放送ない問題”やバロンドール候補MFの大ケガと無関係ではないワケ<Number Web> photograph by Getty Images/Kiichi Matsumoto

重傷を負ったロドリと、アウェー戦が地上波放送されない日本代表。関連性は薄いように見えて、過密日程と放映権という深い階層でつながっている

 この28歳のスペイン代表は、バロンドールの候補にも挙げられる、当代随一のセントラルMFだ。3年前のEUROではセルヒオ・ブスケツのサブの域を出なかったが、一昨季にシティのチャンピオンズリーグ初制覇の原動力となるまでに成長し、今夏のEURO2024ではスペインの優勝に大きく貢献。7月14日に行われたその決勝は、彼が昨季にプレーした63試合目に当たり、しかもそこでハムストリングを負傷したことでシティへの合流が遅れ、ようやく戻ってきたと思ったら、今季4試合目で破綻をきたした。

  選手を代表して、勇気ある発言をした後に。

クラブW杯は“絵に描いた餅”に終わるのでは

 ロドリはこれでおそらく、クラブシーズンが終わった後に予定されている、こちらも新フォーマットのクラブW杯に出場できなくなった。ジャンニ・インファンティーノ会長が強く推し進める新しい形式の大会は、チーム数が前回の7から32に増え、4チームから成る8組でグループステージが行われ、16チームで決勝トーナメントを戦うものとされている。すなわち、これまでの代表チームのW杯と同じ形で(次の2026大会から48チームで争われることになるけれども)、決勝まで勝ち進めば、約ひと月の間に7試合を消化することになる。クラブの長い長いシーズンを終えた後に、涼しくもない夏のアメリカで。

 ただし以前から、この新たなクラブW杯は、インファンティーノ会長が絵に描いた餅に終わるのではないかとも囁かれている。

 主役として招かれるはずの欧州のクラブ側が、ボイコットも辞さない構えを見せているからだ。今年6月、レアル・マドリーのカルロ・アンチェロッティ監督は、母国イタリアのメディアに次のように話した。

「レアル・マドリーの試合は、1回で2000万ユーロの価値があるというのに、FIFAはその価格で我々を大会に招こうとしている。うちと同じように、他のクラブも参加要請を断るだろう」

選手団体はFIFAを相手取り法廷闘争の準備を

 エリートフットボールへのファンからのボイコットは、すでに始まっている。

 前身のヨーロピアンカップを1982年に制しながら、チャンピオンズリーグには今季が初出場となるアストン・ビラは、高く設定し過ぎたチケットにサポーターが激しく反発している。身近なところでは、筆者の周りのフットボールファンは、今季のチャンピオンズリーグは決勝トーナメントからしか観ないと言う人が多い。個人的には職業柄、そうするわけにはいかないが、食傷気味になっているのは確かだ。

【次ページ】 日本代表の“アウェー戦地上波で見られない問題”も…

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