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カープが“競合覚悟”で「宗山塁1位指名」を公表のワケは? ドラフト直前…本人が語った「ショートのポジションにはこだわりたい」の決意
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/10/22 06:00
広島が1位指名を公表した宗山塁内野手(明治大・175cm、80kg・右投左打)。ショートのポジションにはこだわりがあるというが、その命運やいかに
つい先日のリーグ戦、三塁側ブルペンあたりに高~く舞い上がったファールフライを、50m近くも全力で追った宗山塁遊撃手。それでも、最後の落下点付近では、ササササッと小足を使って、体勢をまったく崩すことなく、当たり前のようにグラブに収めてみせた。
そういえば宗山塁、そのバッティングでも崩れたところを見たことがない。
仮に、変化球でタイミングを外されても頭が動かず、だからスイングの軸が崩れない。このメカニズム、彼のフィールディングにも共通する。
この秋のリーグ戦、ある試合の5回の打席のおよそ20球で、打者・宗山塁は一度も頭を動かすことがなかった。
「頭を動かさずに、いつも同じ目の位置から球道を見ることで、インパクトの精度が上がりますし、際どいボールの見極めもしやすくなります。際どいコースに来るボールっていうのは、つまり、ピッチャーの勝負球ですから。そこを見極めることでピッチャーはカウントを悪くして、ストライクゾーンで勝負せざるを得なくなります。そこへ、ピッチャーを追い込んでやれば、失投や甘いボールも増えて、ジャストミートの可能性もぐんと上がってくるので」
バッティングは「変幻自在」「多様性豊か」
宗山塁のバッティングは、ひと言で表現すれば、シュアな広角打法。
それも場面によって必要なことを感じ取って、進塁打を心掛けたり、相手野手のいない所へタイムリーを弾き返したり、無死ランナーなしのような場面では「ホームラン狙い」のような強引なほどのフルスイングを見せることもあって、もっと言えば「変幻自在、多様性豊かなバッティング」ともいえる。
宗山選手のバッティングで感心するのはファールの打ち方の上手さだ。
最初からファールにしようとして合わせにいくファールじゃない。「パチン!」と力点を作って打ちにいきながら、話の中に出てきた「際どいボール」をファールにできる。それも左打席から、ファールはほぼ全てが三塁側へのファールだ。