昨シーズンまでは右足のアウトサイドでゴール前に入れたり、カットインして右足でクロスを供給するシーンが圧倒的に多かった。もちろんチャンスと見れば、得意の反発ステップで縦に抜け、さらに中にエグって決定機を演出する技もある。

　今季はこうしたサイドからの崩しに「左足のクロスボール」が増えた。バリエーションがひとつ増えた格好で、筆者は本人に聞いてみた。「自分で意識して引き出しを増やしているのか、それともファビアン・ヒュルツェラー監督から指示があるのか」と。三笘によれば自分で意識して増やしているとのことで、こう言葉を続けた。

「バリエーションを増やしてます。これまで縦に行った時のバリエーションが少なかったので、そこは考えてやってます。理想としてはもう1個（ドリブルで）抜き切ってシンプルに中を見てパスを入れられたらいいですけど。このレベルだと（左足で早めに）入れたら何か起きることがあるので。最近はそっちの方がいいかなと思ってます」

スペイン代表DFペドロ・ポロとマッチアップした三笘。ドリブルに加え、多彩なクロスで混乱させた　©Getty Images

　三笘としてはドリブルで縦に進み、さらに中へ突き進んでラストパスを入れるのが理想的だという。しかしプレミアで対峙するSBは、世界屈指の強者ばかり。なかなか簡単には突破させてくれない。

　そこで、左足のクロスとなる。「このレベルだと（左足で早めに）入れれば何か起きることがある」と言うように、ゴール前の中で待つ味方FWたちもまた強者だ。今回のトッテナム戦の1点目では、三笘の左足クロスが相手のクリアミスとなり、ミンテのゴールにつながった。

　振り返れば、前半の連続アタックでも、三笘の多彩なクロスボールが目についた。

　右足でシュート回転のクロス、右足アウトサイドでアーリークロス、そして左足のクロスと、バリエーションが実に豊富だった。しかも後半はエストゥピニャンとの連係で、三笘の動き方自体も複雑に。マッチアップしたスペイン代表DFペドロ・ポロは終始、混乱していたに違いない。

後半11分、鋭いドリブルからあわや同点ゴールというシュートも　©Getty Images

監督「苦しむ時は一緒に苦しむ」

　チェルシー戦の大敗からトッテナム戦までのこの1週間、ブライトンは重苦しい雰囲気に包まれていた。しかし31歳の青年監督ヒュルツェラーは、チームをひとつにまとめようとしていたという。三笘が舞台裏を明かす。

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