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「あの三笘が珍しい…」ブライトン番記者が驚いた三笘薫の“感情が爆発したシーン”…0-2最悪な状況からの逆転劇、本人が語る「ハーフタイムの控え室は厳しかった」
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byAFLO
posted2024/10/10 17:56
10月6日のトッテナム戦。ブライトンは0-2の最悪な状況から3-2の逆転劇。三笘薫(27歳)も珍しい姿を見せた
1失点目は、不用意なボールロストからDFラインの背後をパスで突かれた。2失点目も、GKがセーブ範囲内のシュートを弾けなかった。ミスを連発して2−4で大敗した前節チェルシー戦を思わせる試合内容で、またしても敗戦かと、ブライトンサポーターが静まり返っていたのが印象的だった。
だが大苦戦したその前半、孤軍奮闘の活躍を見せたのが三笘だった。圧巻だったのは、前半23分に1失点目を喫してからの連続アタックだ。
相手GKから離れていくシュート回転の右足クロスを入れたと思えば、右足の絶妙なアウトサイドキックでウェルベックの決定機を演出。ベテランFWはクロスに合わせきれなかったが、その後も日本代表は左足のクロス、右足のクロスと、怒涛の仕掛けを見せた。失点からわずか14分の間に、クロスから作り出したチャンスは4つ。自分がやらねばと言わんばかりに積極果敢に攻め続けた。
しかし、前半終了間際にGKのミスから再び失点――。さすがにこの時ばかりは、三笘も天を仰いだ。
ハーフタイムの控え室「相当厳しい感じ」
迎えたハーフタイム。三笘によると、ブライトンの控え室は「相当厳しい感じ」だったという。監督からの指示は「『もっとやれ』と言われただけ」。戦術的なものより、気持ちを奮い立たせる内容だった。
ただ後半、試合の流れを変えるポイントのひとつになったのが、選手交代で左SBにペルビス・エストゥピニャンを投入する采配だった。エクアドル代表DFは、三笘がブライトン加入1年目から左サイドでコンビを組む、気心しれたプレーヤー。2人のコンビプレーは大きな武器となった。
三笘が「彼とはとてもやりやすい。僕の動きをギリギリまで見てくれるので、そこは大きいと思います。相手DFの裏にボールを蹴れる体勢(=立ち位置)をとってくれるので、そこで相手との駆け引きを作ってくれる。ボールの持ち方がうまい選手です」と話した通り、好連係を見せた。
ブライトンの1点目は、エストゥピニャンから三笘への縦パスが起点だった。三笘の動き出しに合わせ、エクアドル代表が縦のスペースにスルーパス。三笘の左足クロスが、ヤンクバ・ミンテのゴールを生んだ。リプレーを確認すると、エストゥピニャンがパスを出すより、わずかに三笘の動き出しの方が早い。息が合ってなければ生まれないプレーで、三笘も「最初の1点目は彼との連係から」と自画自賛した。
2点目も、やはり三笘とエストゥピニャンの連係が光った。
エストゥピニャンがタッチライン際の「大外」に陣取ると、三笘は「内側のレーン」、つまり中盤中寄りにポジションを移した。エクアドル代表から半身でパスを受けた三笘は、サッと敵をかわして前を向き、ジョルジニオ・リュテルの同点弾につなげたのである。この得点で、三笘には5試合ぶりにアシストがついた。
「左足のクロスボール」が増えた
そしてもうひとつ、この試合で効いていたのが三笘のクロスボールである。