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「あの三笘が珍しい…」ブライトン番記者が驚いた三笘薫の“感情が爆発したシーン”…0-2最悪な状況からの逆転劇、本人が語る「ハーフタイムの控え室は厳しかった」
text by
田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph byAFLO
posted2024/10/10 17:56
10月6日のトッテナム戦。ブライトンは0-2の最悪な状況から3-2の逆転劇。三笘薫(27歳)も珍しい姿を見せた
「監督は、『苦しむ時は一緒に苦しむ』とずっと言ってました。『チーム全体で苦しむ。1人の責任ではない』と。全員で戦って負ければ、全員の負けです。そうやって、『よりまとまろう』という意識がありました。うん、すごくいい練習ができていたと思います」
それだけに逆転勝利後、三笘が満面の笑みを見せたのは自然な流れだった。ひたすら耐えていた苦しい気持ちが、一気に解放された。そんな瞬間だった。
試合後のピッチではこんな一コマもあった。三笘は決勝弾を決めたウェルベックを指さし、ベテランFWの下に歩み寄っていった。日本代表MFは、ちょっとだけ背の高いウェルベックに背伸びして、もう一度抱きついた。
CFとして先発出場が続いている33歳のウェルベックについて、三笘はこう話す。
「僕が小さい頃から活躍している選手です。マンチェスター・ユナイテッドでもアーセナルでも、ほんとに第一線でずっとやっていた。尊敬しています。自分としても、やりやすいところが本当にたくさんあって、試合中も彼と話しながらやってます。近くでプレーすれば、シンプルにパスを叩いてくれる。良い距離感でプレーできてます。今後も続けていけば、よりゴールも増えてくると思います」
子供時代から青年時代にかけて三笘は、欧州サッカーを伝えるテレビ番組『すぽると!』をかじりつくようにして見ていたという。マンチェスター・Uやアーセナルでプレーしたウェルベックも、画面越しに眺めていた一人。三笘が尊敬の眼差しを向けるのは、少年時代の記憶も少なからず影響している。
ベテランFWウェルベックの“小さな気配り”
ブライトンの取材を続ける筆者は、正直ウェルベックに「もう少し決定力が上がれば……」と思うこともあるのだが、22年9月まで指揮を執ったグレアム・ポッター元監督は「実はウェルベックはピッチ内だけでなく、ピッチ外でも素晴らしい選手。影響力が大きい」と明かす。若手の多いブライトンにおいて、ビッグクラブで戦ってきたその経験と影響力は計り知れないようだ。
実際、トッテナム戦でもこんなシーンがあった。前節のチェルシー戦で失点直結のミスを連発したCBのアダム・ウェブスターが、試合開始早々に怪我で交代となった。うつむきながら、ピッチの外に向かうウェブスター。