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「2年連続ホームラン王」大谷翔平54発はパワー、打球速度だけでなく「技術・知性の結晶」“テレビが報じない”キャリアハイの決定的要因 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/10/05 17:30

「2年連続ホームラン王」大谷翔平54発はパワー、打球速度だけでなく「技術・知性の結晶」“テレビが報じない”キャリアハイの決定的要因<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平が確信の表情を見せ、相手捕手が呆然と弾道を見送る。2年連続ホームラン王に輝く中で何度も見たシーンだ

【飛距離ベスト3、速=打球速度】
・6月18日ロッキーズ戦 145.1m、速181.9km/h
 投手ゴンバー 135.0km(スライダー)
・7月21日レッドソックス戦 144.2m、速187.8km/h
 投手クロフォード 138.2km(カットボール)
・5月5日ブレーブス戦 141.4m、速178.0km/h
 投手ミンター 151.0km(フォーシーム)

【打球速度ベスト3、距=飛距離】
・7月27日アストロズ戦 191.0km、距140.6m
 投手ブランコ 148.1km(フォーシーム)
・4月23日ナショナルズ戦 191.0km、距137.2m
 投手バーンズ 137.8km(スプリッター)
・9月11日カブス戦 190.1km、距123.4m
 投手ウィックス 138.2km(スライダー)

【打った投手の球速ベスト3】
・6月5日パイレーツ戦/投手スキーンズ 161.1km(フォーシーム)
 速169.9km/距126.5m
・5月6日マーリンズ戦/投手ムニョス 154.7km(フォーシーム)
 速173.2km/距134.4m
・5月29日メッツ戦/投手ロペス 154.3km(シンカー)
 速165.8km/距115.8m

 パイレーツのポール・スキーンズは「二刀流」で話題になった超新星で、オールスターゲームでも先発したが、大谷はその100マイル超の剛速球を本塁打している。

「遅い球」をホームランにしている点も進化の要因

 一方で今季の大谷は「遅い球」もホームランにしている。それが今季の進化が見て取れる「最大のポイント」ではあるのだが――。

【打った投手の遅い球】
・9月19日マーリンズ戦/投手ブルハーン 109.9km(フォーシーム)
 速182.8km/距134.2m
・6月25日ホワイトソックス戦/投手フレクセン 117.3km(カーブ)
 速151.0km/距114.6m
・5月5日ブレーブス戦/投手フリード 120.1km(カーブ)
 速167.9km/距125.6m

 一番遅いのは9月19日のマーリンズ戦、50-50を達成したうえで6打数6安打10打点した空前の試合の最終打席。ブルハーンは本職内野手だが、投手を節約するためにマウンドに上がった。110km/hに達しない山なりのボールは、プロの打者には逆に打ちにくいはずだが、大谷はこれを180km/hの猛スイングですくい上げ、右中間中段席に運んでいる。

 またブレーブスのフリードという一線級投手のカーブも本塁打している。

相手の“変化球対策”を大谷は見越していたかのように

 実は、今季の大谷翔平は「変化球」への対応で、長足の進歩があった。MLBのスタットキャストでは投手の投球のタイプを以下のように分けている。

 ファストボール=フォーシーム、ツーシーム、カッター、シンカー
 オフスピード=スプリット、チェンジアップ、フォーク、スクリュー
 ブレーキング=スライダー、カーブ、ナックル、スイーパー、スラーブなど

 それを踏まえて、各年と今年の打撃成績を見ていく。

【次ページ】 53人から本塁打したことでも分かる「知性の向上」

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