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「2年連続ホームラン王」大谷翔平54発はパワー、打球速度だけでなく「技術・知性の結晶」“テレビが報じない”キャリアハイの決定的要因 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byNanae Suzuki

posted2024/10/05 17:30

「2年連続ホームラン王」大谷翔平54発はパワー、打球速度だけでなく「技術・知性の結晶」“テレビが報じない”キャリアハイの決定的要因<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平が確信の表情を見せ、相手捕手が呆然と弾道を見送る。2年連続ホームラン王に輝く中で何度も見たシーンだ

【投球のタイプ別、大谷の打撃成績の推移】
・ファストボール
 2018年 199打60安18本 率.302
 2019年 202打63安13本 率.312
 2020年 87打19安5本 率.218
 2021年 253打70安24本 率.277
 2022年 274打86安16本 率.314
 2023年 216打82安23本 率.380
 2024年 339打104安21本 率.307

・オフスピード
 2018年 51打14安2本 率.275
 2019年 76打17安1本 率.224
 2020年 23打3安1本 率.130
 2021年 104打25安8本 率.240
 2022年 134打27安4本 率.201
 2023年 116打31安5本 率.267
 2024年 101打37安10本 率.366

・ブレーキング
 2018年 75打19安2本 率.253
 2019年 106打30安4本 率.283
 2020年 43打7安1本 率.163
 2021年 179打42安14本 率.235
 2022年 178打47安14本 率.264
 2023年 163打38安16本 率.233
 2024年 196打56安23本 率.286

 大谷はファストボール系を以前から得意にしていて、コンスタントに本塁打を打っていた。それもあってナ・リーグの投手陣は速い球で攻略するのではなく、緩急差をつけたり、左右に曲げたりして大谷を打ち取ろうとした。

 しかし、大谷はその戦略を見越したかのように――オフスピードでもブレーキングでも10本以上の本塁打を放ち、ブレーキングではファストボールを上回っているほどだ。

 今季はフォーシームを打った本塁打が15本に対し、スライダー(スイーパーを含む)はこれを上回る16本。投手の変化の軌道を予測して、見事に振りぬくことができていた。

53人から本塁打したことでも分かる「知性の向上」

 MLB各球団では昨今、各投手の投球を正確に再現できる「トラジェクトアーク」という最先端のピッチングマシーンの導入が進み、大谷も活用していると伝えられている。

 今季の大谷に54本の本塁打を提供した投手の数は53人、2本打たれたのは6月16日のロイヤルズ戦、2打席連続で本塁打を打たれたシンガーだけだった。

 ア・ナ29球団との対戦が組まれている現在のMLBでは、過去の対戦成績に頼った投手攻略策を立てることはできない。このあたりがNPBとの最大の違いなのだが、大谷は「トラジェクトアーク」を駆使して、未知の投手と対戦時の球の軌道や変化について、頭に叩き込んで打席に立っているのだろう。

 単なるパワーアップや打球速度アップではない。大谷翔平は投手の配球を読み、あらゆる球種に対応する技術・知力も高めた結晶として、今年の空前の成績を挙げるに至ったのだ。

 DH専任でも圧倒的な数値を残したWAR、90%超えの成功率をマークした59盗塁とともに――改めて驚嘆するしかない。〈MVP争い、盗塁編からつづく〉

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