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「2年連続ホームラン王」大谷翔平54発はパワー、打球速度だけでなく「技術・知性の結晶」“テレビが報じない”キャリアハイの決定的要因 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2024/10/05 17:30

「2年連続ホームラン王」大谷翔平54発はパワー、打球速度だけでなく「技術・知性の結晶」“テレビが報じない”キャリアハイの決定的要因<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平が確信の表情を見せ、相手捕手が呆然と弾道を見送る。2年連続ホームラン王に輝く中で何度も見たシーンだ

 本塁打になる可能性が高いとされるバレル・ゾーンに打球を打った率(Brls/PA%)の今季5傑は以下の通り。

 ジャッジ(ヤンキース)14.9%
 大谷翔平(ドジャース)14.1%
 ソト(ヤンキース)12.8%
 スタントン(ヤンキース)12.4%
 ウィットJr.(ロイヤルズ)10.9%

 この数字を見ても、ジャッジと大谷というア・ナ両リーグの本塁打王が、打球速度やパワーだけでなく「本塁打を打つ技術」でも傑出していることがわかる。

 アメリカン・リーグからナショナル・リーグに移籍し、球場も対戦する投手も大きく変わったにもかかわらず――大谷はキャリアハイの54本塁打を記録し、リーグをまたいで2年連続のホームラン王となった。彼の打撃技術が「揺るがないもの」になっていることを表している。

左投手から12発、得点圏打率も気づけば.283

 さらに子細に大谷の本塁打を見ていこう。

【左右投手別の本塁打数(本塁打率=打数÷本塁打)の推移】
 2018年 22本:右20(11.4)、左2(49.5)
 2019年 18本:右15(18.7)、左3(34.3)
 2020年 7本:右6(18.2)、左1(44.0)
 2021年 46本:右28(12.1)、左18(11.0)
 2022年 34本:右25(15.2)、左9(22.8)
 2023年 44本:右33(10.9)、左11(12.6)
 2024年 54本:右42(9.8)、左12(18.8)

 左打者の大谷は左投手をやや苦手としていたが、スイングスピードが上がった2021年以降、苦手にしなくなった。今季は昨年よりも左投手の本塁打率がやや下がっているとはいえ、右投手から10打数に1本以上の割合で本塁打を打っている。

【打順別の本塁打(本塁打率)と打点】
 1番打者 90試35本(10.34)84打点
 2番打者 69試19本(14.42)46打点

 1番打者のムーキー・ベッツが死球で戦線離脱し、ロバーツ監督は6月17日から大谷をトップバッターに据えたが、そこから本塁打を量産した。ベッツが復帰してもロバーツ監督は大谷を1番で起用し続けた。本来、1番打者は打点を稼ぐうえでは不利だとされているが――驚くべきことに、大谷はこの打順で84打点を記録し、自身初の打点王を獲得。本塁打王との二冠となった。

 また今シーズン、大谷は「得点圏打率(RISP=Runners In Scoring Position)が低い」と言われ続けてきたが、最終的には.283(145打41安8本68点)まで数字を伸ばしている。

145m弾から100マイル超の剛球打ちまで

 つづいては本塁打の飛距離と打球速度、打った投手の球速のベスト3を見ていく。

【次ページ】 「遅い球」をホームランにしている点も進化の要因

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