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「今までで一番いい試合だった」リベロ山本智大の涙腺を崩壊させたブラン監督と小川智大の言葉…“3番手”から這い上がった守護神の足跡
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2024/09/12 11:03
パリ五輪準々決勝イタリア戦で敗れ、ブラン監督(左)と涙を流す山本智大
試合後、ネットを挟んで挨拶する際、イタリアの何人かの選手は、山本に対して、握手だけでなく背中をたたくなど特別な意思表示をしていた。「お前すげーよ」と言っているかのように。
「(アレッサンドロ・)ミキエレットとは仲がいいんですけど、『お前拾いすぎだろ!』みたいなこと言ってましたね(笑)。結構どのチームもリスペクトしてくれていると感じるんですけど、特にイタリアチームは一人一人が敬意を払って接してくれます。ミキエレットにはその日の夜に選手村でも会ったので、『いつブルテオンに来んの?』と言っときました(笑)」
悪い記憶を打ち消すほど、いいプレーの記憶も数多く残っている。それでも今、一番心に残っているのは「悔しさ」だと言う。
「本当にメダルを獲れると思って臨みましたから。過去イチと言っていいぐらいのメンバーが揃って、一人一人が役割を果たせれば、絶対に結果はついてくると信じてやってきたので、非常に悔しいという気持ちが一番です」
懸けていたパリ五輪では目標に届かなかった。
では4年後は……?
山本はもう決めていた。
(第3回につづく)