試合後、森保監督は「空中戦もほとんど勝っていたと思いますけど、全部勝てるというところが彼の特長」と高井を評する一方で、「攻撃力を発揮できるところをチームに還元できるように力をつけてほしい」と期待をこめてすぐさま課題も口にした。負傷欠場した冨安健洋（アーセナル）や伊藤洋輝（バイエルン）をはじめ、選手層が厚くなる守備陣を勝ち抜くためには、指揮官が求める高い理想を追い求めなければいけない。

　実際、中国戦では早速、反省点も見つかった。

©︎Kiichi Matsumoto

　86分、谷口からパスを受けると、ファーストタッチで前方に持ち出し、ドリブルで運んだ。次に予測されるのは、こちらも武器の一つである鋭い縦パス。最前線に入っていた小川航基（NECナイメヘン）が相手DFの前に降りてきたのは視野に入ったが、高井が選択したのは、田中への横パスだった。結果的に得点チャンスに繋がったが、ビルドアップの能力に長けている高井からすれば、チャレンジしてもいいシーンだった。デビュー戦とはいえ、余裕を持ってプレーできる状況だっただけに「あれくらいはやらないといけない」と高井本人も自覚していた。

　鬼木監督は「それで満足するタイプではないので、ここからの戦いにはまだまだ期待したい」とする一方、「選手であれば苦しいときも必ず来るでしょうし、そのときにメンタリティーをしっかりと備えさせてあげたい」と話す。

　今季のJリーグでも1つのミスや失点でプレーのリズムを崩すなど、若さを露呈することも少なくない。物怖じしないことは長所である一方、メンタル面での熱も必要なのかもしれない。それらの点は経験を重ねていく上で意識とともに向上させていくべき要素だろう。

日本代表の合宿に参加し、笑顔をみせる高井幸大　©︎JFA/AFLO

「いい階段は登ってこられていると思いますけど、ここからが本当の勝負というか戦いだと思うし、しっかりと毎回名を連ねられるような選手になりたい」

　また一つ、新しいステージに踏み出した高井の成長をしっかりと見守りたい。