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「普通なら顔が引きつっても…」森保監督が驚く“192センチDF”高井幸大20歳とは何者か? 川崎で憧れた先輩・谷口彰悟も「どんどんビッグに」
text by
菊地正典Masanori Kikuchi
photograph byJFA/AFLO
posted2024/09/09 11:01
日本代表デビューを飾った川崎フロンターレDF高井幸大(20歳)。試合後、小学生時代から目標の選手だった谷口彰悟と笑顔で写真に収まった
川崎のチームメイトたちは、高井を表現する上でいつも「ヘラヘラ」という単語を使う。ともに最終ラインを形成する佐々木旭(24歳)はパリ五輪に出場した高井に感心した。
「いつの試合だったか入場するときにヘラヘラしていたので、相変わらずだと思いました。でも、一緒にプレーしているときと同じ高井には思えないくらい堂々としていたし、大舞台に強い」
同じ下部組織出身で、高井の4つ上の先輩にあたるストライカー山田新(24歳)は、「(パリ五輪では)悔しい思いをしたと思う」と後輩の心情をおもんぱかったかと思いきや、「ヘラヘラしながら帰ってくると思う」と報道陣を笑わせた。
「子どものようにピッチに出ていった」
高校時代から指導する鬼木達監督は、今回の日本代表デビューを見て2年前のことを思い出していたという。
2022年7月20日、国立競技場で行われたパリ・サンジェルマン戦。世界トップクラブのジャパンツアーの一環として行われた試合で高井はベンチ入りを果たした。すでにプロ契約を締結していたとはいえ、まだU-18所属の2種登録選手。それでも「早く出してくれ」という想いが通じたのか、鬼木監督は高井をピッチに投入した。
「子どものように……あのときは本当に子どもでしたけどね(笑)、うれしそうに(ピッチに)出ていったことを今でも鮮明に覚えています」
その姿勢は、日本代表の舞台でも変わらなかった。
「やってやろう。のびのびプレーしよう」
名前を呼ばれた瞬間、高井はそう思った。点差があったことは本人も認めるところだが、緊張感はなかった。むしろ、日本代表に合流した初日の方が緊張していた。