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「いろんなラグビーができた方がええよ」堀江翔太が語る“理想のラグビー選手”とは? お腹いっぱい発言も「エディーさんのやること興味ある」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/09/08 11:12
ラグビーから離れ、自由気ままに時間を過ごしていると明かした堀江翔太(38歳)
「土曜日の試合に向けて、月曜日に集合したんかな。寄せ集めだから、それなりに合わせなあかんでしょと思ってたら、月火水はジョグみたいなのしかしなくて、木曜は休み。しかもチームディナーがあって、みんな、ばんばん飲むんです。金曜は試合前日のキャプテンズランがあったんですが、歩いてボールを回すくらい。『こんなんで試合できんの?』って、さすがの僕も不安になりました」
ところが、バーバリアンズは45対32でフィジーに勝ってしまう。
「評判が高かったフィジーにフツーに勝っちゃって(笑)。昨日まであんなにいい加減だったのに勝つって、コーチングって何なんかな、と思ってしまいました。ただ、戦術、戦略は最後になって必要なものなんだなと感じました。バーバリアンズの試合に出て感じたのは、ラグビーって『個人』だということです。まずは個人が勝負をする。もちろん、1対1で勝負できる人材が集まっていたのもありますけど、ひとりが勝負に行ったら、周りがそれに合わせられる。これがすごくてね。どうして合わせられるかというと、みんないろいろなラグビーを経験しているから、引き出しが豊富。だから、どんなプレーにでも反応できるんです。ああ、これがトップのラグビーなんやな、と。いい経験ができました」
「次、トライ取ったら、ゴールキック蹴って」
バーバリアンズの伝統として、引退を決めた選手にプレースキックを任せるというものがある。後半28分からピッチに登場した堀江は、キャプテンから「次、トライ取ったら、ゴールキック蹴って」と言われる。
そしてトライが生まれ、堀江は後半37分にコンバージョンを成功させる。
「試合が終わって、SNSで『あーやって蹴るねん! (松田)力也! 応援してるで!」と投稿しときました(笑)。バーバリアンズの試合に出てみて、お腹いっぱいになるまでラグビーができるって、やっぱり幸せなことなんだと思いました。バーバリアンズのメンバーとして最後の試合ができるっていうのは名誉なことでしたし、非常に幸せなラグビー人生を歩めたと思います」