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「いろんなラグビーができた方がええよ」堀江翔太が語る“理想のラグビー選手”とは? お腹いっぱい発言も「エディーさんのやること興味ある」
posted2024/09/08 11:12
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Kiichi Matsumoto
「僕はコーチングの大切な部分って、選手たちが『こういうラグビーできたら楽しいな』と思えるというか、そういうモチベーションってすごく大事だと思うんです。2019年のW杯の時は、めっちゃ楽しかったです。新しい戦術、戦略を提示して、見てても面白いと感じてくれるラグビーができてたと思います。それで勝てるんですから、最高ですよ。僕たちも意欲がどんどん湧いてきて、めっちゃモチベーション高かったんです」
2019年を戦った選手たちの話を聞くと、みんな目がキラキラして、楽しそうに話してくれたのを思い出した。しかし、あのラグビーを上回るものを選手たちに提示するのは、コーチングスタッフにとっても難しいことだったのかもしれない。
「新しい戦術を提示するところまで行かなかったですよね。2023年の合宿ではブレイクダウンが強調されてて、60分ぶっ続けでトレーニングをするとかやってましたけど、戦術そのものにワクワクするようなものが不足してたんかなと感じます」
イングランド、アルゼンチンに対し、後半20分前後まで互角に戦いながら、最後に突き放されてしまったのは、こうしたあたりにも原因があったのかもしれない。
W杯で最後の戦いとなったアルゼンチン戦の後、堀江はミックスゾーンで報道陣を前に、「まだまだプレーしますよ」と話していたのだが、実際にはリーグワン終了後の引退を決めていた。
招待されたバーバリアンズでの経験
ブレイブルーパスとの決勝が引退試合だったと思っている人も多いだろう。しかしあのあと、堀江はもう1試合戦っている。世界各国の選手たちが招待されるクラブチームで、今回はロンドンのトゥイッケナムでフィジーを迎えた。
「今回のバーバリアンズは、ワイルドナイツのヘッドコーチのロビー(・ディーンズ)さんが監督することになってて、今年の初めくらいから声かけてもらってたんです。本当にラグビーはお腹いっぱいいっぱいだったので、ぜんぜん行きたくなくて。でも、イギリスに行けなくなるような予定が入るわけでもなく(笑)。それで行ったんですが、合流した後も5分か10分出れたらいいやという感じでした」
正真正銘の引退試合で、堀江はバーバリアンズの在り方に衝撃を受ける。