スポーツ・インテリジェンス原論BACK NUMBER
「コーチにボロカス言われた」“衝突”を繰り返した堀江翔太がジェイミージャパンに重宝された理由「判断がないラグビーなんて、どこがおもろいねん」
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/09/08 11:11
時に、コーチ陣と衝突を繰り返しながら日本代表のチームを牽引してきた堀江翔太(38歳)
取材の席では、ここから堀江の「スクラム講義」になった。
「あ、でも良い姿勢って、形のことじゃないです。相手の嫌なところに僕らが入り込むというイメージです。僕の感覚からすると、4番から8番までがエンジンで後ろから押してくれるんで、第一列の3人は車のフレームになって、相手の嫌なところに入り込んでいく感じです」
堀江は2023年まで長谷川慎が指導するスクラムを組み続けた。2019年大会ではアイルランドからコラプシングを奪うなど、まさに日本代表のスクラムはチームの「心臓」だった。日本が列強と五分に戦える時間帯が増えたのも、スクラムが安定していたからだ。日本代表のスクラムは進化したと言えるのだろう。
「どうなんでしょうね。ただ、去年のW杯でもイングランドにもアルゼンチンにも対等に組めたし、組みながら違うことも考えられてたんですよ。次、こう動こうとか。そういう余裕ができたという意味では進化してたんじゃないですかね」
ただし、堀江は2023年のW杯に向けてはチームとしての停滞を感じていた。
(第3回につづく)