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バレーボールPRESSBACK NUMBER
「4年後、ロス五輪で絶対に結果を出したい」女子バレー石川真佑(24歳)がイタリア出発前に語った本音「パリ五輪で痛感した1点の重み」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYuki Suenaga
posted2024/08/30 17:00
イタリアに出発する前にインタビューに応じたバレーボール女子日本代表・石川真佑(24歳)
結果がすべての世界。それでも、敗れたこと以上にこれまで積み重ねてきたことを出すこともできずに終わったことが、石川には何より悔しかった。
「劣勢の場面や大事な場面でいかに精度を高くできるか。今までずっと、そこを意識して練習してきたし、私自身もイタリアでいろんなことを磨いてきたと思っていたけれど、それが全く活かせなかった。4セット目の(ミスにつながった)あの一本も、私だったら自分が獲りにいった、いけた、と思っていましたけど、でもそこに立てていなかったのも事実。オリンピックに懸ける強さを前面に出してくる海外のチームに対して、ここに向けて合わせるというピーキングの作り方も甘かったし、自分はまだまだ足りないことだらけだったと思い知らされました」
「もう気持ちは次に向いている」
最終戦となったケニア戦の2日後、女子日本代表の選手、スタッフ全員で男子日本代表の準々決勝を観戦した。テレビ中継や多くのメディアでは「兄妹での五輪」「兄妹でメダル獲得」と煽られることが多いが「全くそんなことを考えることもない」と笑う。兄だからではなく、一人の選手として、同じ日本代表として戦い、勝利を目指す姿に声援を送った。
「1セット目からみんなパフォーマンスがものすごくよかったし、いけるって思いながら見ていました。でも本音を言うと、ただ純粋に『頑張れ』と思えたかというと、ちょっと複雑でもあって。勝ってほしいし、勝てるって思うけれど、でもやっぱりそれ以上に悔しい。私たちもこれぐらい、もっと頑張らなきゃ、という気持ちでいっぱいでした」
2セットを連取し、第3セットでは24対21とマッチポイントを握りながらの逆転負けを喫したイタリア戦。自分たち以上に「1点を取る難しさを感じさせられた」と振り返る試合を見届け、新たな決意も芽生えた。
「もう気持ちは次に向いています。具体的にどうしたい、というのはまだ定まっていないですけど、次のロス(五輪)で絶対に結果を出したい。全部の積み重ねが最後に出るのがオリンピックだと思うので、これからもっと、しっかりやっていかないとっていう気持ちです」
決して言葉数が多いわけではない。兄と同じく大風呂敷を広げることも一切ない。でもその石川が「絶対に結果を出したい」と言い切る。
不完全燃焼の戦いを振り返りながらも、最後は悔しさより覚悟を滲ませる。
だがその戦いは決して孤独なものではない。常に真っすぐ、進み続ける石川に「バレーに真剣な表情もいいけれど、くだらないことで大爆笑する顔はもっと好き」と変わらぬ距離で見守る親友がいるからだ。
(後編に続く)