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「イシカワは継続性を欠いた」現地紙は石川祐希にも厳しい評価、ペルージャまさかの3連敗でリーグ制覇の夢破れる…“王者”に起きた異変とは?
posted2025/04/26 06:02

プレーオフ第5戦ではスタメン出場したペルージャ石川祐希(29歳)。13得点をあげたが、ファイナル進出は果たせなかった
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弓削高志Takashi Yuge
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PA Images/AFLO
石川祐希は吠えていた。拳を握りしめ、何度も腹の底から「よっしゃー!」と咆哮した。ベンチに、チームメイトに、そしてたぶん自分自身にも。
現地4月24日、セリエAプレーオフ準決勝第5戦が行われ、石川擁するペルージャはチヴィタノヴァに1-3で敗れた。3勝勝ち抜け方式のプレーオフトーナメントで、昨季王者のペルージャは先に2勝しながらよもやの逆転負け。石川のスクデット(※セリエA優勝タイトルの通称)への思いは準決勝で絶たれた。
「自分が出るときは状況が厳しいとき」
2勝2敗で迎えた第5戦は、石川にとって起死回生とすべきゲームだった。プレーオフを通じて、初めて1セット目から先発に名を連ねた。
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試合開始直後、石川はいきなり胸のすくようなパイプ攻撃を打ち込み、サイドアウトを奪う。握り拳を突き上げ、アレーナに大声援が響いた。
3月上旬から開幕したセリエAプレーオフで、石川の出場機会は極端に限られていた。アンジェロ・ロレンツェッティ監督が、アウトサイドヒッター(OH)の先発枠を昨季の4冠メンバーであるオレフ・プロトニツキとカミル・セメニウクの2人に託したためだ。
指揮官とはレギュラーシーズンを通して信頼を築き上げてきたはずで、さぞ忸怩たる思いがあるだろうと思いきや、敵地でフルセットの末に辛勝した第2戦の後、石川は冷静にこう言い放った。
「自分が出るときは試合の状況が厳しいとき。そういったところで活躍できるよう準備していく」
先発で起用されないことを嘆くより“難しい場面だからこそ自分は起用される”とマインドセットしていたのだ。このとき、彼の表情はまだ晴れやかだった。