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「4年後、ロス五輪で絶対に結果を出したい」女子バレー石川真佑(24歳)がイタリア出発前に語った本音「パリ五輪で痛感した1点の重み」 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byYuki Suenaga

posted2024/08/30 17:00

「4年後、ロス五輪で絶対に結果を出したい」女子バレー石川真佑(24歳)がイタリア出発前に語った本音「パリ五輪で痛感した1点の重み」<Number Web> photograph by Yuki Suenaga

イタリアに出発する前にインタビューに応じたバレーボール女子日本代表・石川真佑(24歳)

 第2セットに入ってからも日本は石川、古賀紗理那を中心にした攻撃で得点を重ねたが、ポーランドもブロックとレシーブが連係し始める。1本では決まらず、サイドに攻撃が偏ったところでブロックに阻まれる本数も増え、僅差の末に第2、3セットを落とした。そして、14対17とポーランドに3点を先行された第4セット、石川は井上愛里沙と交代しベンチに下がった。

 ネーションズリーグでも同様に、流れを変えるために交代するケースはあったが、むしろ「調子はよかった」と振り返る試合での交代。実際にどう受け止めたのか。そう問うと、石川は淡々と答えた。

「ブロックされる本数も増えたので、交代と言われた時も悔しいとか怒りとか、そういう感情はなかったです。『あー、そうか』って。少しコンビが合わなくなっていたのも感じていたので、またいつでも戻れる準備はしていたし、逆に外から相手のディフェンスを見て、『次に自分が入ったらこうしてみよう』『これもできるんじゃないか』と思いながら見ていました」

 攻撃力に定評がある井上の投入で、確かに攻撃のリズムが変わった。加えて第3セットから林琴奈に代わった和田由紀子のライト側からの攻撃も効果的で、終盤には古賀の活躍もあり連続得点して25対24。ついに日本が逆転した。

 だが、続く1点が日本の勝負を分けるプレーとなる。

 石川も「もったいない」プレーと振り返った一本は、日本が精度にこだわってきた攻撃へつなぐ二段トスのミスだった。

悔やまれる、あの「1点」

 ポーランドの攻撃を日本がレシーブ。セッターの関菜々巳がトスを上げようと追いかけるも距離があり、セッター以外の選手が二段トスを上げなければならない状況。相手も前衛レフトの古賀に対してブロックを集めたが、ハイセットが自分に上がると予測していた古賀は、ブロックが並ぼうとフィニッシュを決めるべく攻撃準備に入っていた。

 コート後方に上がった“2本目”を誰が上げるか。位置で見ればバックセンターに近いボールではあったが、ほんの一瞬、後衛の井上と和田が見合う形となり、バックライトにいた和田が慌ててアンダーハンドで上げた。ボールはネットのアンテナよりも外側へ飛び、何とか返そうと試みた古賀の打球がアンテナに当たる。絶好の場面での手痛いミスが生まれ、第4セットを得る機を失った。デュースの攻防の末に第4セットを26対28でポーランドが制する。セットカウント1対3で敗れた日本は、1ポイントも得ることができなかった。

 結果的に、この1点、1ポイントが大きく響いた。

 続くブラジル戦もストレートで敗れ、予選ラウンド2試合を終えた時点で得たポイントはゼロ。最終戦でケニアに勝利はしたものの、セット率によるわずかな差でドミニカ共和国に及ばず、日本の準々決勝進出への道が絶たれた。

【次ページ】 「まだまだ足りないことだらけ」

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