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不倫騒動にカネへの欲望…「妻を寝取られたイタリア夫が何をしでかすか」批判されても“名将を育てた名将”76歳で死去エリクソンの大功績
posted2024/08/28 11:03
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
J. Quinton/Getty Images
2024年8月26日、76年の生涯を終えたスベン・ゴラン・エリクソンは、セリエAラツィオでクラブ26年ぶりとなるスクデットを制するなど、1990年代から2000年代にかけての名将として知られた。
01年2月から外国人初のイングランド代表監督に就任し、翌年の日韓ワールドカップで来日。淡路島での代表合宿や神戸でのテストマッチを経て、埼玉や札幌、大阪と新潟、そして静岡の地で采配を振るった。
続くEURO2004ポルトガル大会と06年ドイツW杯では、いずれも準々決勝でポルトガルにPK戦で敗退。プライドの詰まったフットボールの母国で、初めての外国人監督エリクソンはつねに批判に晒された。
不倫騒動に金銭欲…スキャンダルだらけのキャリア
エリクソンといえばロマンスグレーと碧い瞳、スラリとした北欧紳士のイメージが強い。だが、実は女性関係にだらしなく、好みのタイプには見境がない上に金銭欲も強かった。スキャンダルにあふれたキャリアだったことは事実だ。
ラツィオ指揮官に就任して間もない97年の秋、スウェーデン同胞の妻と2子がいたにもかかわらず、エリクソンはイタリア系アメリカ人の女性弁護士ナンシー・デッローリオと知り合い、道ならぬ恋に落ちた。不倫騒動は表沙汰になり、彼女の夫に直談判するといってきかないエリクソンを必死になだめたのは、2つ年下でローマ時代から気心知れた副官ルチアーノ・スピノージだった。
「何度スベンに『やめとけ』と諭したことか。『妻を寝取られたイタリア夫が何をしでかすか、おまえはわかってない。のこのこ出かけていったらピストルで撃たれるのがオチだ』って説得したよ」